新規事業開発のノウハウ|2026.02.03
新規事業の立ち上げを成功させる8つのプロセス|現場経験者が徹底解説
新規事業の立ち上げとは、企業が既存事業とは異なる領域で新たな収益の柱を構築する取り組みのことです。 「新規事業を任されたけれど、何...
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新規事業開発のノウハウ
2025.07.04
新規事業の企画書とは、新しいビジネスのコンセプトや実行計画を整理し、社内の意思決定者から承認を得るための資料です。
「企画書を作れと言われたが、何から書けばいいのか分からない」
「一度提出したが差し戻されてしまった」
新規事業の担当者になると、多くの人がこの壁にぶつかります。
アビームコンサルティングの調査によると、大企業の新規事業が中核事業にまで育つ確率はわずか約3%。裏を返せば、企画書の段階で的確な準備ができていなければ、承認すら得られないまま終わるケースがほとんどです。
この記事では、新規事業のプロジェクトを100件以上支援してきたNewAce代表の現場経験をもとに、企画書に盛り込むべき必須項目から、通らない企画書の共通パターンとその対策までを項目別に解説します。
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それでは、本章をチェックください。
目次

新規事業を社内で推進するには、まず「企画書」と「計画書」の違いを正しく理解しておく必要があります。
両者は作成の目的もタイミングも異なるため、混同するとムダな手戻りが発生します。
新規事業の企画書は「この事業をやるべきかどうか」を判断してもらうための資料です。事業のコンセプト、ターゲット顧客、市場機会、競合優位性などを簡潔にまとめ、経営陣やステークホルダーに提出します。
企画書が使われる代表的な場面は以下の通りです。
企画書は「やるか、やらないか」を決める資料。詳細な数値計画よりも、事業の方向性と勝算を端的に示すことが求められます。
企画書と計画書は、セットで語られることが多いものの、役割がまったく異なります。
| 比較項目 | 新規事業企画書 | 新規事業計画書 |
|---|---|---|
| 目的 | 事業の承認を得る | 事業の進め方を共有する |
| 主な内容 | コンセプト・市場分析・優位性 | 財務計画・KPI・体制・スケジュール |
| 記載の粒度 | 概要レベル | 詳細レベル |
| 提出タイミング | 企画の初期段階 | 企画承認後 |
まずは企画書で「やるべき事業か」を認めてもらい、承認を得てから計画書で「どう進めるか」を詰める。
この順番を守ることで、不要な詳細作業を避けられます。
計画書の具体的な書き方やテンプレートの活用法については、稟議が通る新規事業の計画書(企画書)の書き方完全ガイドで詳しく解説しています。
企画書を飛ばしていきなり計画書を作ってしまうと、コンセプトへの合意がないまま詳細設計に入ることになります。
その結果、経営陣から「そもそもこの事業をやる意味があるのか」という根本的な問いが返ってきて、大幅な手戻りが発生します。
NewAceが支援した新規事業プロジェクト100件以上のうち、企画書を経ずにいきなり計画書を作成したケースでは、約7割が初回の経営会議で差し戻しとなっていました。

企画書に何を書くかは自由度が高い反面、項目の抜け漏れが「通らない企画書」の直接原因になります。ここでは、新規事業の現場で繰り返し求められる9つの項目を、書き方のコツとあわせて紹介します。
企画書の冒頭に置く、全体の要約パートです。忙しい経営陣が最初に読む部分であり、ここで関心を引けなければ先を読んでもらえません。
盛り込むべき要素は5つです。
サマリーは最後に書くのがコツ。各項目を仕上げてから要約すると、過不足なくまとまります。
「なぜ今、この事業なのか」を説明するパートです。自社の経営課題、市場のトレンド変化、顧客の未充足ニーズなど、事業を企画した根拠を客観的に示します。
ここで大切なのは、社内の経営方針やビジョンとの整合性を示すこと。経営陣は「会社の方向性と合っているか」を必ずチェックします。
アイデアの着眼点や発想法に迷ったら、新規事業のアイデアが思いつかないときに使える探索のヒントも参考になります。
「誰に売るのか」を明確にするパートです。ペルソナ(理想的な顧客像)を設定し、その顧客が抱える課題や本音(インサイト)を記載します。
市場規模の推計もこのパートに含めます。TAM(全体市場)→ SAM(利用可能市場)→ SOM(獲得可能市場)の順で絞り込むと、経営陣が数字の根拠を理解しやすくなります。
市場調査の具体的な進め方については、新規事業の成功率を上げるリサーチの実践ガイドで詳しく解説しています。
ターゲット顧客の課題に対して、自社がどのような価値を提供するのかを記載します。バリュープロポジション(独自の提供価値)を一文で言い切れる状態を目指しましょう。
誰から、何に対して、どうやってお金をもらうのか。収益化の仕組みを図と文章の両方で説明します。リーンキャンバスの9要素に沿って整理すると、抜け漏れが防げます。
リーンスタートアップの考え方を取り入れたい場合は、リーンスタートアップの活用事例と注目される理由もあわせてご覧ください。
「私がコンサルティングファーム時代に多くの新規事業企画書をレビューしてきた経験から言うと、”アイデアは面白いが、どうやって儲けるのかが見えない”という指摘が最も多いパターンでした。ビジネスモデルの図解は、企画書で最も時間をかけるべき項目です」
競合を「存在しない」と書くのは危険です。経営陣はそれを見た瞬間、市場調査の甘さを疑います。直接競合だけでなく、代替手段(間接競合)も含めて整理しましょう。
| 分析項目 | 自社 | 競合A | 競合B |
|---|---|---|---|
| 提供価値 | 記載 | 記載 | 記載 |
| 価格帯 | 記載 | 記載 | 記載 |
| ターゲット | 記載 | 記載 | 記載 |
| 弱み | 記載 | 記載 | 記載 |
このような比較表を入れると、自社の優位性が視覚的に伝わります。
短期(半年〜1年)と中長期(3〜5年)の2軸でマイルストーンを設定します。企画書の段階では大まかな粒度で構いません。「いつまでにPMF(製品と市場の適合)を検証するのか」が示されていれば、経営陣は計画の実現性をイメージできます。
PMFの検証にはPoC(概念実証)が有効です。具体的な進め方はPoCの進め方と事例で学ぶ実施手順で解説しています。
体制図は「誰が、何の責任を持つのか」を可視化するパートです。ここで見落とされがちなのが、社内だけでなく外部人材をどう組み込むかという視点です。
新規事業では、既存組織にはないスキルが必要になることが大半です。市場調査、事業モデル設計、PMO(プロジェクト管理)など、フリーコンサルタントを含む外部プロ人材を体制に組み込むことで、企画の実行可能性が大きく高まります。
新規事業の現場で求められるスキルセットについては、新規事業開発に求められる6つのスキルも参考にしてください。
NewAceが支援する案件の80%が新規事業関連です。体制図に外部の専門人材を明記した企画書は、経営陣から「実行体制が具体的で安心できる」と評価される傾向があります。
意外に思われるかもしれませんが、撤退基準を明記した企画書は通りやすくなります。経営陣にとって最も怖いのは「ズルズルと投資が膨らむこと」だからです。
撤退基準の書き方の例は以下の通りです。
撤退基準の設計方法をさらに深掘りしたい方は、新規事業の撤退基準が成功を左右する?判断基準や設定方法を解説をご覧ください。
撤退基準の記載は「逃げ」ではなく「覚悟の表明」です。リスクを直視していることを示すことで、経営陣の信頼を獲得できます。
必須項目を揃えても、企画書が通らないケースは少なくありません。ここでは、新規事業プロジェクトを100件以上見てきた現場の知見から、よくある失敗パターンとその対策を紹介します。
「市場規模は○○億円です」と書くだけでは不十分です。経営陣が知りたいのは、その数字がどこから来ているのか、そして自社が実際に取れるパイはどのくらいなのかです。
対策は以下の通りです。
アイデアは魅力的でも、収益化の道筋が不明確な企画書は承認されません。「誰がいくら払うのか」「利益率はどの程度か」を具体的な数値で示す必要があります。
テストマーケティングの結果があれば最も説得力が高まります。たとえば「1か月のWeb広告テストで○件のリードを獲得し、CPA(顧客獲得単価)は○○円だった」といった検証データは、机上の計算よりもはるかに経営陣に響きます。
撤退基準がない企画書は、経営陣に「出口戦略を考えていない」という印象を与えます。前述の通り、KPIベースの撤退ラインを必ず盛り込みましょう。
「NewAceでこれまで100件以上のプロジェクトを見てきましたが、企画書の段階で撤退基準を明記していたプロジェクトは、仮に事業が軌道に乗らなかった場合でも、傷が浅いうちに適切な判断ができていました。撤退基準の有無は、企画書の品質を測るリトマス試験紙と言えます」
「プロジェクトチーム3名で推進」とだけ書かれた企画書では、経営陣は実行可能性を判断できません。誰が、どのスキルを持ち、どの役割を担うのかを具体的に記載する必要があります。
社内に新規事業の経験者がいない場合は、外部の専門人材の活用を正直に記載するほうが、かえって信頼度が上がります。
に新規事業の経験者がいない場合は、外部の専門人材の活用を正直に記載するほうが、かえって信頼度が上がります。
新規事業に強いフリーコンサルタントの活用については、新規事業に強いフリーコンサルとは?働き方や将来性を徹底分析で詳しく解説しています。
新規事業には担当者の情熱が不可欠です。しかし、企画書が「思い」だけで構成されていると、客観的な根拠に欠けると判断されます。逆に、データだけを並べて熱量が感じられない企画書も、経営陣の心を動かしません。
データに基づく客観的な根拠と、「なぜ自分がこの事業をやりたいのか」という当事者としての思い。この両方が企画書に含まれていることが重要です。
企画段階でのアイデアのブラッシュアップには、外部との壁打ちが有効です。
具体的な方法は新規事業のビジネス案をブラッシュアップする「壁打ち」の効果とコツにまとめています。
ここからは、NewAce代表としての経験を踏まえ、実際に承認された企画書に共通するポイントをお話しします。
私がコンサルティングファーム時代から一貫して感じていることがあります。それは、経営陣が企画書を手に取ったとき、最初にチェックする項目は決まっているということです。
💡 ポイント
企画書を書き上げた後に外部の専門家に相談するのではなく、企画の構想段階から巻き込むことで、企画そのものの精度が格段に上がります。
市場調査の方法論、ビジネスモデルの設計、財務シミュレーション──これらはコンサルティングファームで日常的に行われる業務です。フリーコンサルタントとして独立した専門家は、これらのスキルを新規事業の現場に直接持ち込むことができます。
新規事業コンサルの具体的な役割や活用法については、新規事業コンサルとは?仕事内容や必要スキル・活用のポイントをご覧ください。
NewAceに登録するコンサルタントはMcKinsey、BCG、Deloitte、Accenture、PwC、EY等の出身者で構成されており、平均単価帯は月120万〜300万円です。案件の継続率は85%に達しており、これはクライアント企業がプロ人材の価値を実感していることの証左と言えます。
私自身、コンサルタントとして企画書をレビューする側と、事業会社で企画書を書く側の両方を経験してきました。その中で気づいたのは、どちらか一方の視点だけでは「通る企画書」にはならないということです。
コンサルタントが書く企画書は、分析が緻密な反面、現場の温度感や当事者としての覚悟が伝わりにくい。一方、事業会社の担当者が書く企画書は、熱意はあるものの市場分析やビジネスモデルの解像度が粗いことが多い。
両方の視点を持つこと──あるいは、両方の視点を持つ人材をチームに入れること──が、新規事業の企画書の質を根本から引き上げます。
企画書が通ったら、次は計画書の作成です。計画書は「どう進めるか」を具体化する資料であり、企画書よりも記載する情報量が格段に増えます。
企画書で承認された内容をベースに、以下の項目を追加します。
計画書は「完璧な予測」を求めるものではありません。不確実性の高い新規事業では「前提条件と、その前提が崩れた場合のプランB」を示すことが重要です
新規事業の立ち上げプロセス全体を把握したい方は、新規事業の立ち上げプロセスを完全解説!実践的な8つのステップもあわせて読むと理解が深まります。
新規事業の財務計画で最も避けるべきは、楽観的なシナリオだけを提示することです。経営陣が信頼するのは、以下の3パターンを並べた財務計画です。
| シナリオ | 想定 | 活用場面 |
|---|---|---|
| ベストケース | すべてが計画通りに進んだ場合 | 投資対効果の上限を提示 |
| リアルケース | 過去の類似事業の実績に基づく現実的な見通し | 承認判断の基本材料 |
| ワーストケース | 主要KPIが計画の50〜70%に留まった場合 | 撤退判断の基準提示 |
売上の計算式は事業モデルによって異なりますが、基本は「顧客数 × 単価 × 購買頻度」です。各変数の根拠をテストマーケティングや類似事業のデータから示しましょう。
企画書の承認後、計画書のプレゼンで高確率で聞かれる質問があります。事前に回答を準備しておくことで、プレゼンの通過率が大きく変わります。
「この5つの質問は、私がコンサルとして経営会議に同席してきた中で、業種を問わずほぼ確実に出てくるものです。逆に言えば、この5つに明確に回答できる計画書は、高い確率で承認を得られます」
プレゼンの場で使う場合はパワーポイント、社内回覧用にはWordが適しています。
ビジネスモデル図やロードマップなど視覚的な表現が必要な項目が多い新規事業の企画書では、パワーポイントを選ぶケースが大半です。
エグゼクティブサマリーとして「誰の・どんな課題を・どう解決し・どのくらいの市場で・なぜ自社がやるのか」の5要素を各1〜2行で記載します。
詳細は別紙として添付する構成が効果的です。1枚にまとめる企画書は、初期段階の合意形成に適しています。
新規事業に特化したコンサルタントに依頼する場合、月額120万〜300万円が一般的な相場です。
企画書作成のみのスポット依頼であれば50万〜100万円程度が目安となります。費用だけでなく、新規事業領域の専門性があるかどうかを重視して選びましょう。
アビームコンサルティングの調査(2023年)によると、大企業の新規事業が中核事業にまで育つ確率は約3%です。単年で黒字化する確率も10%前後に留まります。
だからこそ、企画書の段階で市場検証と撤退基準の設計を丁寧に行うことが不可欠です。
企画書の説得力を高めるために、以下の補足資料を用意しておくと経営陣からの質問に即座に対応できます。
この記事の要点を整理します。
新規事業の企画書は、テンプレートを埋めるだけで完成するものではありません。市場の読み、ビジネスモデルの設計、経営陣を納得させるストーリー構築──
これらは経験の積み重ねで磨かれるスキルです。
社内に新規事業の知見が不足していると感じたら、外部のプロ人材を頼ることも有効な選択肢の一つです。
NewAceは「新規事業 × コンサルティング」に特化したフリーコンサルタント向け案件マッチングサービスです。
McKinsey・BCG・Deloitte等の出身者が100名以上登録しており、企画の構想段階から実行フェーズまで伴走できる体制を整えています。
この記事を執筆した人

長尾 浩平
新規事業創出や事業戦略の専門家として、多様な業界での経験を持つコンサルタント兼起業家。
東京工業大学大学院 生命理工学研究科、および中国・清華大学大学院 化学工学科を卒業。グローバル企業において研究開発、新規事業企画、新市場参入戦略の立案、M&A支援、DXコンサルティング、営業戦略策定など、多岐にわたる業務を担当。業界を横断した豊富な経験を活かし、事業成長と競争力強化を支援する総合コンサルティングを提供。
2024年1月にVANES株式会社を創業し、企業の持続的成長を支援。変化の激しい市場環境において、戦略立案から実行支援まで一貫したアプローチで企業価値の最大化に貢献している。
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