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新規事業の撤退基準|設定方法・判断指標・成功事例を現場視点で解説

新規事業開発のノウハウ

2025.08.16

新規事業の撤退基準とは、事業の継続・撤退を判断するために事前に設定する客観的な指標や条件のことです。

「この事業、いつまで続けるべきか」

新規事業に関わる方なら、一度は直面する問いではないでしょうか。始めることよりも、やめる判断のほうが難しい。これは多くの経営者やプロジェクト責任者が口を揃える実感です。

実際、新規事業の成功率は一般に10〜30%程度といわれています。つまり、7割以上は撤退や方向転換を迫られます。にもかかわらず、明確な撤退基準を事前に設定している企業は決して多くありません。

本記事では、新規事業の撤退基準について、設定方法・判断指標・成功企業の事例を解説します。

100件超のプロジェクト支援実績を持つNewAceの現場視点を交えながら、「教科書的な知識」では終わらない実践的な内容をお伝えします。

なお、新規事業の立ち上げプロセス全体を把握したい方は、新規事業の立ち上げプロセスを完全解説した記事も合わせてお読みください。

この記事でわかること💡
  • 新規事業の撤退基準の定義と、戦略的撤退・消極的撤退の違い
  • 撤退判断に使う6つの評価指標(KPI・貢献利益・ROI・市場動向・リソース負荷・顧客フィードバック)
  • 現場で即実践できる撤退基準の設定方法【5ステップ】
  • サイバーエージェント・リクルート等の成功企業事例+NewAce支援のリアルな撤退判断エピソード
  • 撤退判断を歪める3つの認知バイアスと、100件超の支援実績から見えた「脱バイアス」の仕組み


弊社サービスNewAceは、あなたのチャレンジを応援するコンサルタントの方向けのプラットフォームです。
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それでは、本章をチェックください。

目次

新規事業の撤退基準とは?定義と全体像

戦略的撤退と消極的撤退の違いを定義・目的・タイミング・意思決定の主導・撤退後の効果の5項目で比較した表。戦略的撤退はデータドリブンで次の成長につながり、消極的撤退は外部圧力による受動的判断でリスクが大きいことを示している。

新規事業の撤退基準は、立ち上げた事業を「いつ・どのような条件で撤退するか」を事前に定めた判断ルールです。感情や希望的観測ではなく、データと論理に基づいて意思決定を行うための仕組みといえます。

このセクションでは、撤退基準の定義・種類・未設定リスクを整理し、全体像をつかんでいただきます。

撤退基準の定義と果たす3つの役割

撤退基準とは、事業のパフォーマンスを評価し、撤退の要否を判断するためにあらかじめ設定する条件のことです。具体的には、以下の3つの役割を果たします。

  • 感情ではなくデータで意思決定を下す判断軸になる
  • 撤退タイミングを事前に明確化し、判断の遅れを防ぐ
  • 損失を最小限に抑え、経営資源を次の成長機会に振り向ける
💡 ポイント

撤退基準は「やめるための条件」ではなく、「正しく挑戦し続けるためのインフラ」です。基準があるからこそ、企業はリスクを取った新規事業に踏み出せます。

戦略的撤退と消極的撤退の違い

撤退には大きく2つのタイプがあります。この違いを理解しておくことが、自社に合った撤退基準を設計する前提になります。

種類定義特徴
戦略的撤退(積極的撤退)利益が出ている段階で、より優先度の高い事業にリソースを集中させるために撤退将来リスクの回避、ポートフォリオの最適化が目的
消極的撤退赤字の継続・市場縮小などにより、やむを得ず撤退判断が遅れるほど損失が拡大する傾向

戦略的撤退は「攻めの判断」であり、消極的撤退は「守りの判断」です。どちらにおいても、事前に基準を持つことが不可欠になります。

なぜ撤退基準がない企業は失敗するのか

撤退基準を設定していない企業では、以下のような事態に陥りがちです。

  • 「もう少し頑張れば結果が出る」と判断を先送りにする
  • 投資した金額や時間が気になり、冷静な判断ができなくなる
  • 誰が撤退の意思決定をするか不明確で、責任が曖昧になる

新規事業の失敗パターンを調査した才流の分析でも、「撤退基準がない」ことが主要な失敗原因の一つとして挙げられています(出典:才流「新規事業はなぜうまくいかないのか」)。

新規事業に向いている人の特徴や推進に必要なマインドセットについては、新規事業に向いている人の特徴7選でも詳しく解説しています。

🗣 代表コメント

「私がコンサルタントとして関わったプロジェクトでも、撤退基準を設けていなかった企業ほど判断が遅れ、損失が拡大する傾向がありました。逆に、事前にルールを決めていた企業は、撤退後すぐに次の事業へリソースを振り向け、結果として成長を加速させていました。」


新規事業の撤退判断に使う6つの評価指標

撤退基準を設計するには、まず「何を基準に判断するか」の評価指標を理解する必要があります。ここでは、新規事業の撤退判断に使われる代表的な6つの指標を解説します。

KPI・KGIの達成度で判断する

KGI(重要目標達成指標)は最終的なゴール、KPI(重要業績評価指標)はゴールに至るプロセスの進捗を示す指標です。

  • KGI例:「1年以内に月商500万円」
  • KPI例:「月間リード獲得数100件」「有料転換率10%」

これらが一定期間連続で未達の場合、撤退判断の根拠になります。

新規事業のKPI設計やフェーズ別の指標設定については、新規事業開発に求められる6つのスキルの記事も参考になります。

💡 ポイント

KGIの未達だけでなく、KPIの推移をモニタリングすることで「改善余地があるか、構造的に無理か」を早期に見極められます。

貢献利益とPL(損益計算書)で判断する

貢献利益は、その事業が会社全体の利益にどれだけ貢献しているかを測る指標です。計算式は以下の通りです。

貢献利益 = 売上高 − 変動費 − 直接固定費

状態判断
貢献利益が黒字・営業利益が赤字改善の余地あり。継続を検討
貢献利益が赤字他事業の利益を食いつぶしている状態。早期撤退を検討

PLの定点観測と合わせて、損益分岐点を一定期間内に超えられるかを判断します。

投資回収期間(ROI)で判断する

初期投資と継続投資がどの程度回収できているかを示す指標がROI(投資利益率)です。新規事業では、事前に想定した投資回収期間との乖離を定期的にチェックします。

  • 回収期間が計画の1.5倍以上に長期化している場合は要注意
  • 追加投資に対するリターンが逓減傾向にある場合は撤退シグナル
📊 NewAceデータ

NewAceが支援する新規事業プロジェクトでは、四半期ごとのROIレビューを外部コンサルタントが担うケースが増えています。社内だけでは見落としがちな「投資効率の悪化サイン」を第三者視点で検出できる点が評価されています。

市場動向と競合環境から判断する

外部環境の変化も撤退判断に直結します。チェックすべきポイントは以下の3つです。

  • 市場規模が縮小傾向にあるか
  • 競合の台頭により差別化が困難になっていないか
  • 顧客ニーズが当初の想定から大きく変化していないか

参入時は成長市場でも、1〜2年で状況が一変することは珍しくありません。市場動向を定期的に分析し、「勝てる市場か」を冷静に再評価する姿勢が求められます。

市場調査やニーズ検証のプロセスについては、新規事業の成功率を上げるリサーチの実践ガイドで具体的な手法を解説しています。

社内リソースの負荷で判断する

新規事業が既存事業に悪影響を与えている場合、リソース配分の見直しが必要です。

  • 新規事業チームの過重負荷で離職が発生
  • 既存事業の品質低下やクレーム増加
  • 経営資源(人材・資金・時間)の枯渇

特に中堅企業では、一つの新規事業に人材を集中させた結果、本業が疲弊するケースが散見されます。撤退基準には「既存事業への影響度」も含めることが重要です。

顧客フィードバックで判断する

顧客の反応は、事業の将来性を測る最もリアルな指標の一つです。

  • 継続率・解約率(チャーンレート)の推移
  • NPS(推奨度スコア)の変動
  • 顧客ヒアリングで得られるネガティブフィードバックの質と量
💡 ポイント

財務指標だけでなく、「顧客が本当に価値を感じているか」という定性的な情報も撤退判断の重要な材料です。数字は好調でも現場の顧客満足が低い場合、中長期では事業が行き詰まる可能性があります。


新規事業の撤退基準の設定方法【5ステップ】

評価指標を理解した上で、実際にどう撤退基準を設定・運用すればよいのか。ここでは実務に落とし込める5つのステップを解説します。

ステップ①:事業開始前にKill Criteriaを定義する

Kill Criteria(撤退条件)は、事業計画の策定と同時に定義すべきものです。事業開始後に設定しようとすると、すでに投じたコストへの執着が生まれ、客観的な基準設計が困難になります。

  • 「6ヶ月以内に月間ユーザー1万人」
  • 「1年以内に売上目標の70%を達成」
  • 「累計投資額が○○万円を超えた時点で再評価」

このように、期間と数値を組み合わせた具体的な条件を定義します。撤退基準と合わせて事業計画書に盛り込む方法については、稟議が通る新規事業の計画書の書き方完全ガイドも参考にしてください。

ステップ②:定量基準と定性基準を組み合わせる

数値だけで撤退を判断すると、見えないリスクを見落とすことがあります。定量基準に加えて、定性的な基準も設定しましょう。

基準の種類具体例
定量基準KPI達成率、貢献利益、ROI、チャーンレート
定性基準チームの疲弊度合い、顧客からのネガティブ反応、市場の質的変化

両方を組み合わせることで、「数字は悪くないが現場は崩壊寸前」といった危険な状態にも気づけるようになります。

ステップ③:モニタリング体制を構築する

基準を設定しても、定期的に確認しなければ意味がありません。KPIダッシュボードの構築や月次レポートの仕組みを整え、撤退基準の達成状況を可視化します。

  • 月次でKPI/KGIの達成率を全関係者に共有
  • 四半期ごとに撤退基準との照合レビューを実施
  • データの一元管理により、判断のスピードを上げる
📊 NewAceデータ

NewAceが支援するプロジェクトでは、外部コンサルタントが月次のモニタリングレビューに参画し、社内の判断を補完する体制が一般的です。案件の80%が新規事業関連であるため、業界横断的なベンチマークデータを持つコンサルタントの知見が活かされています。

ステップ④:撤退基準を経営会議に組み込む

撤退基準が「現場だけの話」で終わると、実際の判断場面で機能しません。四半期ごとの経営レビューに撤退基準の確認を必ず議題として組み込み、経営陣と現場の共通認識を維持することが重要です。

  • 経営会議のアジェンダに「撤退基準レビュー」を固定枠として設定
  • 判断の責任者を明確にし、意思決定プロセスを文書化
  • 社外取締役や外部アドバイザーの参画も有効

ステップ⑤:撤退後のリソース再配分計画を事前に用意する

意外に見落とされがちなのが、「撤退した後」の計画です。撤退を決断してから再配分先を考えると対応が遅れ、人材やノウハウが散逸するリスクがあります。

  • 撤退時に移行可能な部署・プロジェクトをリスト化
  • 新規事業で得た知見やデータを社内資産として蓄積する仕組み
  • 撤退に関わったメンバーのキャリアパスを事前に検討
🗣 代表コメント

「撤退の失敗は、判断の遅れだけでなく”撤退後の設計不足”から起きることも多いです。NewAceでは継続率85%を維持していますが、これはプロジェクト終了後のリソース再配分まで含めた伴走支援があるからです。撤退の設計も、攻めの経営の一部だと私は考えています。」


撤退判断を誤らせる3つの認知バイアスと対策

新規事業の撤退判断を歪める3大バイアスの危険度を横棒グラフで比較した図。サンクコストバイアス(危険度90%)、正常性バイアス(70%)、確証バイアス(55%)の順に高く、それぞれの対策を併記している。

撤退基準を設定していても、いざ判断する段階で「心理的な罠」に陥るケースが後を絶ちません。ここでは、撤退判断を歪める代表的な3つの認知バイアスとその対策を紹介します。

サンクコストバイアス:「ここまで投資したから」の罠

サンクコストバイアスとは、すでに投じた費用や時間が回収できないにもかかわらず、「もったいない」という感情で撤退できなくなる心理的傾向です。

経営の現場では、こんな発言に表れます。

  • 「ここまで2年と3億円をかけたのだから、もう少し続けよう」
  • 「撤退したら、これまでの投資が無駄になる」
  • 「チームが頑張ってきたのに、やめるわけにはいかない」

しかし、過去の投資は意思決定を変えるべき要因ではありません。問いかけるべきは「今後、この事業に追加投資するだけの価値があるか」です。

🗣 代表コメント

「100件以上の新規事業プロジェクトを見てきましたが、撤退判断を遅らせた最大の原因はサンクコストバイアスでした。”冷静に考えれば撤退すべき”と分かっていても、投じたリソースへの執着が判断を鈍らせます。これは優秀な経営者でも例外ではありません。」

正常性バイアス:「まだ大丈夫」の危険

正常性バイアスとは、危機的な状況に直面しても「自分は大丈夫」「まだ巻き返せる」と楽観的に見積もる心理傾向です。

  • KPIが3四半期連続未達でも「来期こそ」と信じる
  • 市場が縮小傾向にあるデータを軽視する
  • 競合の台頭を「一時的なもの」と片づける

このバイアスが組織全体に蔓延すると、集団的楽観(グループシンク)に陥り、誰も「撤退すべきだ」と言い出せない空気が生まれます。

💡 ポイント

正常性バイアスへの対策は、「悪いニュースを歓迎する文化」を経営陣が意識的につくることです。撤退基準のモニタリングを定例化し、データに基づく議論を習慣にしましょう。

現場で使える「脱バイアス」の仕組み3選

認知バイアスを完全に排除することは困難ですが、仕組みで影響を軽減できます。

  • Devil’s Advocate(悪魔の代弁者)を置く:経営会議であえて「撤退すべき理由」を主張する役割を設定する。社内の同調圧力を打破する効果がある
  • 撤退基準の「自動発動」ルールを設ける:基準に抵触した場合、自動的にレビューが開始される仕組みを組み込む。判断を先送りする余地をなくす
  • 外部の客観的視点を入れる:利害関係のない第三者(外部コンサルタントや社外取締役)が撤退レビューに参加することで、バイアスを相対化できる

外部人材の活用方法については、新規事業コンサルの仕事内容や活用ポイントの解説記事で詳しくまとめています。

📊 NewAceデータ

NewAceの登録コンサルタントが撤退レビューにDevil’s Advocate役として参画した事例では、社内だけでは2年以上先延ばしになっていた撤退判断が、3ヶ月で合意に至りました。McKinseyやBCG出身のコンサルタントが持つフレームワークと第三者性が、意思決定の加速に寄与しています。


成功企業に学ぶ撤退基準の事例

理論だけでは判断の精度は上がりません。ここでは、実際に撤退基準を活用して成功につなげた企業の事例を紹介します。有名企業の公開事例に加え、NewAceが支援したプロジェクトの現場エピソードもお伝えします。

サイバーエージェント:「1年以内に収益性なければ撤退」

サイバーエージェントは「1年以内に収益性を見込めない場合は撤退する」という明確な基準を設けています。

さらにメディア事業では、「リリース後4ヶ月で月間300万PV」「ゲームなら月間売上1,000万円」という具体的な数値基準を運用しています(出典:藤田晋氏ブログ)。

この厳格な基準があるからこそ、同社は年間数十もの新規事業に挑戦できる体制を維持しています。

リクルート:事業ごとの独自評価による撤退判断

リクルートは、事業ポートフォリオ単位で独自の成長戦略と評価基準を設定しています。

各事業に詳細なKPIを策定し、定期的なレビューを通じて撤退・継続・追加投資を判断します(出典:東洋経済オンライン「リクルート『撤退する事業』『成長する事業』の差」)。

一律の基準ではなく、事業特性に応じた柔軟な基準設計がポイントです。リクルートの新規事業の仕組みについてさらに詳しく知りたい方は、リクルートの新規事業が生まれる仕組みを解説した記事をご覧ください。

ファーストリテイリング:「3年以内に黒字化できなければ撤退」

ユニクロを展開するファーストリテイリングは、「3年以内に収益を確保できない事業は撤退する」というルールを持ちます。

2002年に非衣料品分野「SKIP」で参入を試みたものの、黒字化の見込みが立たず、28億円の特別損失を計上して撤退しました(出典:Relic「新規事業の撤退/判断基準の決め方とは?」)。

迅速な撤退が、本業であるユニクロの急成長を支えた事例です。

【NewAce支援事例】大手企業の新規事業撤退判断を外部人材が支えた話

ここからはNewAceが実際に関わったプロジェクトの事例です(守秘義務により企業名は匿名としています)。

ある大手企業が新規事業を開始して1年半、売上は伸び悩み、KPIも未達が続いていました。しかし社内では「まだ可能性がある」という声が強く、撤退の議論は棚上げにされていました。

このプロジェクトにNewAce経由でBCG出身のコンサルタント(40代)が参画。月次のモニタリングレビューで客観的なデータ分析を行い、「貢献利益が3四半期連続で赤字であること」「市場環境の構造的変化」を経営層に提示しました。

結果として、約3ヶ月でステークホルダー間の合意が形成され、撤退が決定。リソースを主力事業のDXプロジェクトに集中させたことで、翌年度に営業利益が改善に向かいました。

📊 NewAceデータ

NewAceが支援するプロジェクトの80%が新規事業関連であり、撤退判断を含む経営課題の支援実績も多数あります。McKinsey、BCG、Deloitte等出身のコンサルタントが100名以上登録しており、平均単価帯は月120万〜300万円です。

新規事業の推進や撤退判断に外部の専門人材を活用したい方は、まずはNewAceにご相談ください。

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【代表の実体験】新規事業の撤退で学んだ3つの教訓

ここまで理論と事例をお伝えしてきましたが、最後に私自身の経験から学んだ教訓を3つ共有させてください。

教訓①:撤退は「失敗」ではなく「次の成功への投資」

私がコンサルタントとしてキャリアをスタートした頃、クライアントの新規事業撤退プロジェクトに初めて関わりました。当時の私は、撤退を「敗北」と捉えていました。

しかし現実は違いました。そのクライアントは撤退後、浮いたリソースを別の成長事業に集中し、3年後には売上が倍増しました。この経験が「撤退は戦略の一部」という私の確信の原点です。

💡 ポイント

撤退を「失敗」と定義するか「投資の最適化」と定義するかで、組織の意思決定のスピードが大きく変わります。

教訓②:社内だけで判断を完結させないことの重要性

2つ目の教訓は、社内の人間だけで撤退判断を下す難しさです。どんなに優秀な経営チームでも、自分たちが始めた事業への思い入れから完全に自由にはなれません。

NewAceを創業して100件以上のプロジェクトをマッチングしてきた中で、「外部のコンサルタントが入ったことで初めて撤退の議論がテーブルに乗った」という声を複数のクライアントからいただいています。

外部の客観的な視点は、バイアスに対する最も有効な処方箋の一つです。

新規事業における外部人材の具体的な活かし方は、新規事業に強いフリーコンサルの働き方と将来性でも詳しく取り上げています。

教訓③:撤退基準は「攻めの経営」のインフラである

撤退基準というと「守り」のイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、私の実感は逆です。

撤退基準を持つ企業ほど、大胆に新しい事業に挑戦しています。「失敗しても、ここで止められる」という安全装置があるからこそ、リスクを取れるのです。

事業ポートフォリオを最適化し続ける企業にとって、撤退基準は攻めの経営を支えるインフラそのものです。

🗣 代表コメント

「”撤退基準を持つこと”は”チャレンジ精神を持つこと”と矛盾しません。むしろ、基準を持つ企業ほど失敗を恐れず挑戦している。これは100件以上の現場を見てきた私の確信です。」


新規事業の撤退基準に関するよくある質問

Q1. 新規事業の撤退基準はいつ設定すべきですか?

事業計画の策定段階で設定するのがベストです。事業開始後に設定すると、すでに投じたコストへの執着が判断を歪めます。「始める前に、やめる条件を決める」が鉄則です。

Q2. 撤退と「ピボット」はどう使い分けるべきですか?

市場ニーズ自体が存在しない場合は撤退、ニーズはあるがアプローチが間違っている場合はピボット(方向転換)を検討します。

KPIの未達要因が「市場側の問題」か「自社の実行側の問題」かで判断が分かれます。ピボットの手法としてリーンスタートアップを活用するケースについては、リーンスタートアップの活用事例と注目される理由で解説しています。

Q3. 撤退判断に外部コンサルタントを活用するメリットは?

社内の利害関係やサンクコストバイアスに左右されない、客観的な判断が可能になります。

他社の撤退判断経験を持つコンサルタントが参画することで、判断の精度とスピードが向上します。

📊 NewAceデータ

NewAceでは新規事業領域に特化したMcKinsey・BCG・Deloitte等出身のコンサルタントが100名以上登録しており、撤退判断を含む経営課題の支援に対応しています。

Q4. 赤字でも撤退しない判断が正しいケースはありますか?

貢献利益が黒字であれば、営業利益が赤字でも継続の余地があります。

また、黒字化まで3〜5年を要する業界では、事前計画に沿った赤字は想定内です。ただし、計画を大幅に下回っている場合は再評価が必要です。

Q5. 撤退後、社員のモチベーションはどう維持すればよいですか?

撤退の理由と判断プロセスを透明に共有することが最も重要です。

関与した社員の経験を次の事業や他部門で活かす配置転換を行い、撤退を「組織としての学び」として位置づけることがモチベーション維持の鍵になります。

👉 具体的なご相談はこちらから


まとめ:撤退基準がある企業だけが、次の成長をつかめる

本記事では、新規事業の撤退基準について、定義・評価指標・設定方法・認知バイアス対策・企業事例を現場視点で解説しました。

改めて要点を整理します。

  • 撤退基準とは、事業の継続・撤退を判断するために事前に設定する客観的な条件
  • 判断指標はKPI/KGI、貢献利益、ROI、市場動向、リソース負荷、顧客フィードバックの6つ
  • 設定は事業開始前に行い、定量と定性の両面で設計する
  • サンクコストバイアスや正常性バイアスなどの心理的罠に注意し、外部視点を活用する
  • 撤退は「失敗」ではなく「次の成長への投資」——攻めの経営のインフラである

新規事業の撤退判断は、社内だけでは難しい局面も少なくありません。外部の専門人材を活用することで、客観性とスピードを兼ね備えた意思決定が可能になります。

新規事業の”狙い目”の見つけ方から具体的なアイデア発想まで知りたい方は、新規事業の狙い目の見つけ方を解説した記事もぜひご覧ください。

NewAceでは、新規事業に特化したフリーコンサルタントのマッチングを通じて、撤退基準の設計から伴走支援まで対応しています。

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この記事を執筆した人

  • 長尾 浩平

    新規事業創出や事業戦略の専門家として、多様な業界での経験を持つコンサルタント兼起業家。
    東京工業大学大学院 生命理工学研究科、および中国・清華大学大学院 化学工学科を卒業。グローバル企業において研究開発、新規事業企画、新市場参入戦略の立案、M&A支援、DXコンサルティング、営業戦略策定など、多岐にわたる業務を担当。業界を横断した豊富な経験を活かし、事業成長と競争力強化を支援する総合コンサルティングを提供。
    2024年1月にVANES株式会社を創業し、企業の持続的成長を支援。変化の激しい市場環境において、戦略立案から実行支援まで一貫したアプローチで企業価値の最大化に貢献している。

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