事業開発プロの新たなキャリア|2025.10.04
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事業開発プロの新たなキャリア
2025.05.22
いざ新規事業を進めてみたけど、思ったように上手くいかない… いつ撤退すべきなのか、失敗と判断するタイミングがわからない…
新規事業を始めるとき、実際に進めて一番難しいのは、推進よりもいつ撤退するかといわれています。事前に撤退基準を設定しないと、企業の信頼や資金を損なうかもしれません。その判断をするために、データやロジックを集めながら推進する必要があります。
今回は、新規事業の撤退基準の判断と設定方法について紹介します!新規事業の推進者やコンサルタントのお悩みを少しでも解消し、しっかりとした企画・推進体制を構築できることをこの記事で手助けできたらと思います。
この記事で分かること!
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それでは、本章をチェックください。
目次

新規事業を成功させるには、開始時だけでなく、撤退の基準を明確にすることが欠かせません。撤退基準があることで、無駄なリソース投入を避け、経営判断を冷静に下せます。
撤退基準は、事業の進退を判断する基準です。損失が拡大する前に手を引くための重要な仕組みといえます。経営者にとっては、撤退も戦略の一部です。感情で続けるより、客観的な基準に従うことでダメージを減らせます。ここではまず、「撤退基準の定義」「必要性」「経営判断との関係性」から解説します。
撤退基準とは、事業から手を引くかどうかを決める判断軸です。あらかじめ条件を設定しておくことで、客観的な視点で判断できます。その役割は主に3つあります。
たとえば「半年以内に売上1000万円を達成できなければ撤退」といった数値目標が該当します。撤退基準があることで、冷静に意思決定ができます。
撤退が遅れれば、金銭的にも人的にも損失が広がる可能性があります。撤退基準を導入することは、攻めではなく守りの経営戦略として非常に重要です。撤退するのは失敗ではありません。むしろ、失敗を最小限に抑えるための手段と捉えるべきです。
事業を冷静に見極めるためにも、撤退基準は必要不可欠です。
撤退基準は、企業のリスク管理の中核となる要素です。明確な基準がなければ、経営判断が後手に回ります。その必要性は次の通りです。
撤退基準がないと、曖昧な状況が続き、誰も責任を取らないまま赤字が膨らむケースもあります。経営判断はスピードが命です。基準があると迷わず判断できます。さらに、撤退は現場だけの話ではありません。経営戦略の一部として捉えることが大切です。
撤退の選択肢を持つことで、挑戦もしやすくなります。これは攻めの姿勢にもつながります。撤退基準があることで、経営の柔軟性が高まります。
撤退判断は、経営判断の一環です。感情に流されず、数字と事実に基づいて判断する必要があります。その関係性は以下の通りです。
経営判断において、「どこに資源を集中すべきか」は常に問われます。撤退基準は、その意思決定の軸になります。事業の成否を冷静に評価し、改善の余地がなければ速やかに撤退します。経営陣が一貫した判断を下せるよう、撤退基準を事前に共有しておくことが重要です。
このように、撤退判断は単なる失敗回避ではなく、企業価値の最大化にも直結するのです。
次は、なぜ企業は撤退基準を設定すべきなのか、3つの理由を具体的に見ていきましょう。

撤退基準を設けることは、失敗を防ぐだけでなく、組織にスピードと柔軟性をもたらします。基準が明確であれば、感情に流されず、合理的に判断できます。
どの理由も、新規事業を成功へ導くためには欠かせません。ここでは、その3つの理由を詳しく解説します。
撤退基準があると、迷いなく次の一手を打てます。経営判断を遅らせる要因の一つは「判断材料の曖昧さ」です。基準を設定すれば、それに従うだけで決断が可能になります。
たとえば、「1年以内に黒字化できなければ撤退」と決めておくと、計画倒れでも次の行動にすぐ移れます。素早い撤退は、結果的に事業全体のスピードを高めます。
ある中小企業では、新サービスを3か月で見直し、半年で撤退を決定しました。結果、余ったリソースを既存顧客の満足度向上に活用でき、売上が改善されました。意思決定が早い企業は、常に市場の変化に対応できる強さがあります。
撤退基準の有無が、意思決定の質と速さを大きく左右します。
企業のリソースは限られています。撤退基準があると、リソースを効率よく配分できます。なぜなら、判断基準により「見込みのない事業」に拘る必要がなくなるからです。
特に中小企業では、人材も資金も潤沢ではありません。無駄な事業にリソースを割くことは、他事業の成長機会を失うことにつながります。
例えば、あるスタートアップでは、新規事業の撤退基準を設けたことで、主力事業の研究開発に集中できました。その結果、既存サービスの品質が向上し、リピート率が20%上昇しました。撤退基準は、単なる終了条件ではなく、企業資源を最大限に活用するための仕組みです。
適切な資源配分は、経営の筋肉質化にもつながります。
撤退基準の最大の目的は、損失を最小限に抑えることです。事業がうまくいかない時、撤退が遅れるほど損失は大きくなります。撤退基準があると、早期対応が可能になります。
失敗事業に固執することで、会社全体の信用を傷つけるリスクもあります。特にBtoB事業では、信頼性の低下は致命的です。
実際、ある中堅企業では、撤退判断を2年遅らせた結果、累計で数千万円の損失を出しました。しかし、別の事業では、基準に沿って半年で撤退し、その後の新規事業で黒字化に成功しています。損失を最小限に食い止めるためにも、撤退基準は重要な戦略的武器なのです。
経営者が撤退を決断する際の不安を和らげる役割も担います。

新規事業の撤退を判断するには、明確な評価指標が必要です。複数の観点から事業の現状を分析し、継続の是非を冷静に見極める必要があります。
この6つの評価軸をもとに、撤退判断を行うことがベストです。ここからは、それぞれの評価指標を詳しく解説します。
事業が成功しているかどうかは、目標とのギャップで判断します。その際の指標がKPI(重要業績評価指標)とKGI(重要目標達成指標)です。両方の達成度を見ることで、現状と将来性を数値で把握できます。
KPIやKGIの未達成は、早期撤退のサインです。あるSaaS企業では、KGIである「月商500万円」を1年で達成できず撤退。結果、リソースを他サービスに集中し、主力事業の成長につながりました。目標の達成度を見ることで、感覚ではなく数値で判断できるようになります。
定期的な指標の確認が、撤退判断の精度を高めます。
お金の流れは、事業継続の生命線です。初期投資と継続投資が、いつどの程度回収できるのかを評価します。同時に、損益計算書(PL)も見て収益性を確認しましょう。
特に投資回収の遅れは、撤退検討の最重要要因です。たとえば、あるアプリ開発事業では、収益モデルが崩れ、3年以内の回収が不可能と判断。早期に撤退することで、追加損失を防ぎました。財務指標は感情に左右されず、経営判断の根拠として非常に信頼性が高いです。
撤退判断には、PLの定点観測が必須です。
事業環境は常に変化します。当初想定していた市場規模やニーズがズレていれば、早期の見直しが必要です。競合の出現や急成長も、撤退を考えるタイミングです。
競合に勝てないと判断したら撤退も賢明です。あるD2Cブランドでは、大手参入により差別化困難となり、事業を見直し撤退を決断。結果、他ブランドへの集中で収益性が改善しました。
市場調査と競合分析を続けることで、撤退タイミングの精度が上がります。市場は静かに崩れていくため、早期発見が重要です。
事業を継続するには、人材・時間・予算といったリソースが必要です。しかし、新規事業が既存業務に悪影響を与えていれば、見直す必要があります。リソースの過度な集中は、全体のバランスを崩します。
リソース負荷が高すぎる場合は、撤退が最善の選択肢です。たとえば、ある人材系ベンチャーでは、新規事業の人材不足が既存サービスの対応力低下を引き起こしました。撤退後、業務効率が改善し、顧客満足度も上昇しました。
リソース配分のバランスを見ることは、撤退判断の重要ポイントです。新規事業は、既存事業と補完しあうべきもので、どちらかを犠牲にするべきではありません。
顧客の反応は、事業の健全性を示す直接的な指標です。顧客が価値を感じていないなら、継続しても成果は出ません。特にBtoB事業では、ヒアリングとデータの両面で評価が必要です。
顧客の反応が悪化している場合は撤退を検討するべきです。あるIT企業では、新規事業における継続率が半年で40%を下回り、撤退を決定。その後は、顧客ニーズに合致するサービスに注力して黒字化しました。
満足度調査やNPSのスコアを定期的に確認することが重要です。顧客の声は最もリアルな経営判断材料になります。
最終的な撤退判断は、経営陣の総合的な判断に委ねられます。数値や現場の声だけでなく、将来的なリスクを加味する視点が求められます。定量・定性の両方を踏まえて、企業全体にとって最適かどうかを考えましょう。
経営の視点で見てリスクが高いと判断されれば、撤退すべきです。
ある中堅企業では、事業継続により信用不安が広がる兆候があり、経営判断で早期撤退しました。その判断が、会社全体の再建を加速させました。経営判断とは、冷徹な選択でもありますが、企業の将来に責任を持つ行動です。
感情ではなく、経営の最善を見据えて判断するべきです。撤退判断には、こうした多面的な評価が不可欠です。

撤退基準は、理想論ではなく現場で機能する形で設計する必要があります。「数値」「期間」「影響範囲」などを明確に定めておくことで、誰もが迷わず判断できます。
この3つのポイントを意識することで、実際に使える撤退基準が整います。以下でそれぞれを詳しく解説します。
撤退基準を考える上で、最も有効な指標が「貢献利益」です。貢献利益とは、固定費を除いた「売上−変動費」で算出される利益です。この数値をもとに撤退の可否を判断すれば、ブレのない経営が可能になります。
貢献利益がマイナスのままなら撤退が妥当です。たとえば、ある飲食系スタートアップでは、新規ブランドの貢献利益が半年で黒字化できないと判断。早期撤退で他店舗の改装資金に回し、主力店の業績が改善しました。
貢献利益は、事業ごとの採算性をリアルに測れる指標です。撤退基準として非常に使いやすく、効果的です。
撤退基準を設定する際は、数字だけでなく、感覚や現場の声も取り入れましょう。定量評価は分かりやすい一方で、予測できない問題は見逃しやすくなります。両者を組み合わせることで、より現実的な判断が可能です。
「数字は好調だが、現場が疲弊している」場合も撤退判断が必要です。
ある物流系企業では、成績は良好でも人手不足が深刻化。従業員の声を重視し、撤退を決定し、長期的な信頼とパフォーマンス向上につながりました。数字と感覚のバランスを取ることで、持続可能な経営判断が可能になります。
現場と経営の両視点での評価が大切です。
撤退基準は、単なる理論で終わってはいけません。日々の業務フローに組み込んで、自然に運用されることが理想です。定期的な評価と確認が必要不可欠です。
基準が形骸化しないよう、業務に溶け込ませることが重要です。
たとえば、あるITベンチャーでは、撤退基準をKPIダッシュボードに表示。経営会議で毎月見直しを行うことで、判断の質が安定しました。
撤退のタイミングを逃さない体制をつくるには、組織全体での共通理解が必要です。基準の「運用」ができてこそ、真の意味で機能します。
次は、撤退には2つの種類があるという点について、さらに掘り下げてみましょう。

撤退には、「戦略的撤退」と「消極的撤退」の2種類があります。どちらも目的や判断軸が異なるため、それぞれを理解しておくことが大切です。
この2つの違いを知ることで、より的確な撤退判断が可能になります。以下で詳しく見ていきましょう。
戦略的撤退とは、収益が出ていても「もっと重要なことに集中するため」に撤退することです。一見損に見えても、長期的にはプラスになる選択です。企業の進化に欠かせない意思決定です。
戦略的撤退は「攻めの撤退」です。
たとえば、あるIT企業が一定の収益を上げていたSNS事業から撤退。その結果、AI開発にリソースを集中でき、新たな成長市場でシェアを拡大しました。このような撤退は、企業の方向性と整合する前向きな選択です。
戦略的撤退は、企業の柔軟性と選択の精度を高めてくれます。「やめる」ことで次の成長機会を掴む準備ができます。
消極的撤退とは、損失やリソース不足などにより「やむを得ず手を引く」ことです。結果的に必要な判断ですが、できるだけ早期に決断することが重要です。判断が遅れるほど、損失が拡大します。
消極的撤退は「守りの撤退」ですが、勇気ある決断です。
たとえば、ある飲食チェーンが新ブランドを展開したが、半年で赤字が拡大。客足も回復せず、従業員の疲弊も顕著だったため、撤退を決定。その判断が結果的に他ブランドの強化につながりました。
撤退は「逃げ」ではありません。企業の体力を守るための戦略的判断です。
大事なのは「正しいタイミング」での判断です。2つの撤退の違いを理解することで、冷静かつ前向きな経営判断が可能になります。

新規事業を始める際には、将来性や成長性ばかりに目が行きがちですが、事業が期待通りに進まない場合、どこで撤退するかをあらかじめ決めておくことも非常に重要です。撤退ラインを明確にしておくことで、無駄な投資やリソースの浪費を避け、他の事業や新たなチャレンジに活かすことができます。
最も分かりやすい撤退判断のひとつは、事業の損益が長期間にわたって赤字である場合です。一定期間の赤字が続き、今後も黒字転換の見込みが立たない場合には、撤退を検討するタイミングといえます
特に、損失が会社全体の経営に悪影響を及ぼし始めた場合は早めの判断が必要です。
新規事業を始める際には、売上や顧客数などの明確な目標を設定することが一般的です。これらの目標に対して、達成率が大きく下回っている場合は、事業の継続に慎重になるべきです。
例えば、半年や1年ごとに進捗を見直し、目標に対して著しく低い場合は撤退も視野に入れます。
新規事業がうまくいかない理由が「自社の強みを十分に活かせていない」「競合他社と比べて明らかに弱い部分がある」場合も、撤退を検討するサインです。
自社のリソースやノウハウが新規事業に適しているかを客観的に分析し、強みが活きない分野で無理に続けるのはリスクが高いといえます。
市場環境や法規制、競合の動きなど、外部環境の変化が撤退判断のポイントになることもあります。
例えば、参入時は成長分野だったものの、市場縮小や法規制の強化、競合の台頭などによって今後の成長が見込めなくなった場合は、早めの撤退が傷を浅くするコツです。
このように、1担当者だけでは難しい撤退基準の設計について、弊社NewAceでは得意にするプロ人材が多く登録しています。弊社サービスにご興味ある方は、下記よりご連絡ください。


撤退基準を明確に定めている企業は、失敗を恐れず挑戦し、結果的に大きな成長を遂げています。以下の5社は、撤退を単なる失敗とせず、戦略として活かした代表例です。
主要な3社のケースを題材に、撤退基準の有効性と活用方法を学びましょう。
ユニクロで有名なファーストリテイリングは、撤退基準を非常に明確にしています。「3年以内に収益が出なければ撤退」というルールを持ち、これに基づいて迅速に判断を行います。
この基準が、世界規模でのスピード展開を支えています。実際、中国市場の一部店舗は、収益性が見込めず早期撤退。その分、成長市場に再投資し、全体の利益率を向上させました。
基準があることで、どの国の拠点でも同じように判断が可能となります。ユニクロの「撤退は失敗ではない」という経営姿勢が浸透しています。
ソフトバンクは、新規事業の撤退基準として「投資回収が困難」と判断された場合、見直しを行います。特に大規模投資が絡む事業では、この判断軸が重要です。
代表的な例がロボット事業のPepperです。当初期待された社会的インパクトや収益が得られず、事業縮小を決断。結果的に、成長可能性の高い通信・AI分野に資金を再配分できました。
リスクを見極める撤退基準が、継続的な成長を支えています。撤退は、未来への投資を可能にする判断でもあります。
メルカリでは、「本業への影響」が撤退基準です。フリマアプリの成長が企業価値の源泉であるため、他の事業が障害となる場合には撤退を選びます。
実際、海外での新規事業の一部は早期撤退しています。本業の強化が優先という考えに基づき、投資配分の見直しを徹底。その結果、国内事業のマーケティングや開発に注力し、競争力が向上しました。事業の優先順位を明確にする撤退基準が、メルカリの戦略の核となっています。
「やめる勇気」が継続成長の土台です。
今回は、新規事業を撤退すべきタイミングと基準について紹介しました!
評価指標と撤退の視点を明確にしたことで、感情に流されず判断できました。事例があったことで、自社にどう落とし込むかのヒントも見つかりました。あなたの事業が健全に育つように、今こそ見直しの一歩を踏み出してください。
この記事を執筆した人

長尾 浩平
新規事業創出や事業戦略の専門家として、多様な業界での経験を持つコンサルタント兼起業家。
東京工業大学大学院 生命理工学研究科、および中国・清華大学大学院 化学工学科を卒業。グローバル企業において研究開発、新規事業企画、新市場参入戦略の立案、M&A支援、DXコンサルティング、営業戦略策定など、多岐にわたる業務を担当。業界を横断した豊富な経験を活かし、事業成長と競争力強化を支援する総合コンサルティングを提供。
2024年1月にVANES株式会社を創業し、企業の持続的成長を支援。変化の激しい市場環境において、戦略立案から実行支援まで一貫したアプローチで企業価値の最大化に貢献している。
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