新規事業開発のノウハウ|2026.02.03
新規事業の立ち上げを成功させる8つのプロセス|現場経験者が徹底解説
新規事業の立ち上げとは、企業が既存事業とは異なる領域で新たな収益の柱を構築する取り組みのことです。 「新規事業を任されたけれど、何...
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新規事業開発のノウハウ
2025.09.19
フィージビリティスタディ(FS)とは、新規事業やプロジェクトの実現可能性を多角的に調査・評価するプロセスです。
「上司からフィージビリティスタディを回すように言われたけれど、具体的に何をすればいいのかわからない」
新規事業の現場では、こうした声が少なくありません。
FSは「実現可能性調査」とも呼ばれ、事業やプロジェクトに投資する前に「本当にやれるのか?」を検証する工程です。
PoCやMVPと混同されがちですが、それぞれ目的もタイミングも異なります。
この記事では、FSの意味からPoCとの違い、検証すべき4要素、実践的な進め方までを体系的に解説します。新規事業を100件以上支援してきた知見も交えながら、教科書に載らないFSの実態をお伝えします。
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それでは、本章をチェックください。
目次

フィージビリティスタディは、英語の「Feasibility Study」をカタカナ表記したものです。「Feasibility」は「実現可能性」を意味し、直訳すると「実現可能性の調査」となります。
日本語では以下のように複数の呼び方があります。
「フィジビリティ」「フィージビリティ」と表記揺れがありますが、いずれも同じ意味です。ビジネスの現場では「フィジビリ」と略されることもあります。
FSは「フィージビリティスタディ」の略称で、「F/S」と表記されることもあります。主に以下のビジネスシーンで実施されます。
NewAceが支援するプロジェクトの80%は新規事業関連です。その多くがFS段階から外部の専門人材を活用しています。
新規事業は一般的に、以下のプロセスで進みます。FSは「アイデア」と「実行」の間をつなぐ橋渡し役です。
| ステップ | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| ① アイデア構想 | 事業コンセプトの立案 | 「何をやるか」を決める |
| ② FS(フィージビリティスタディ) | 実現可能性の多角的調査 | 「やれるか」を見極める |
| ③ PoC(概念実証) | プロトタイプでの検証 | 「動くか」を確かめる |
| ④ MVP開発 | 最小限の製品で市場投入 | 「売れるか」をテストする |
| ⑤ 本格展開 | スケールアップ | 事業として成長させる |
新規事業の立ち上げプロセス全体を詳しく知りたい方は、新規事業の立ち上げプロセスを完全解説した記事も参考になります。
「私自身、コンサルファーム時代と事業会社での新規事業立ち上げの両方を経験しました。FSの精度がその後のプロセス全体を左右する、というのは現場で何度も実感しています。」

FSとPoC(Proof of Concept:概念実証)は混同されがちですが、役割が明確に異なります。以下の表で整理しましょう。
| 比較項目 | FS(フィージビリティスタディ) | PoC(概念実証) |
|---|---|---|
| 目的 | 事業全体の実現可能性を評価 | 特定の技術やアイデアが動くか検証 |
| タイミング | 事業構想の直後(最も上流) | FS完了後、開発着手前 |
| 主な手法 | 机上調査・市場分析・財務シミュレーション | プロトタイプ開発・小規模実験 |
| 成果物 | FS報告書(Go/No-Go判断の根拠) | 動作するプロトタイプ・検証レポート |
| 期間目安 | 2〜12週間 | 4〜16週間 |
FSは「やるべきか?」を問う調査、PoCは「本当にできるか?」を確かめる実験です。FSでGoと判断された後にPoCへ進むのが一般的な流れです。
PoCの具体的な進め方や注意点については、PoCの実施手順と事例をまとめた記事で詳しく解説しています。
FSに似た概念は他にもあります。それぞれの位置づけを整理します。
| 概念 | 和訳 | 主な目的 | 実施フェーズ |
|---|---|---|---|
| FS | 実現可能性調査 | 事業全体の実現性を多角的に評価 | 構想直後 |
| PoC | 概念実証 | 技術面・コスト面の実効性を検証 | FS後 |
| MVP | 実用最小限製品 | 最小限の機能で市場の反応を検証 | PoC後 |
| デューデリジェンス | 適正評価手続 | 既存企業や資産のリスク・価値を精査 | M&A検討時 |
FSは「まだ存在しないもの」の可能性を調べるのに対し、デューデリジェンスは「既に存在するもの」の実態を調べる点が決定的な違いです。
なお、MVPを活用した仮説検証のアプローチとしては、リーンスタートアップの考え方と活用事例が参考になります。
実務では、FSで洗い出した課題の中から「最もリスクの高い仮説」をPoCで検証する、という使い方が効果的です。
NewAceの支援実績では、FS段階で課題の優先順位を明確にしたプロジェクトは、PoCフェーズでの手戻りが大幅に減る傾向にあります。プロジェクト継続率85%という数字にも、この初期設計の精度が反映されています。
FSでは「市場」「技術」「財務」「運用」の4つの観点から多角的に検証します。どれか一つでも欠けると、後工程で致命的な問題が発覚するリスクがあります。
市場面では、そもそも「売れるのか」「お客様がいるのか」を確認します。
分析にはPEST分析やファイブフォース分析といったフレームワークが有効です。総務省の統計データや業界レポートも活用できます。
市場調査の具体的な手法やコツについては、新規事業の成功率を上げるリサーチ実践ガイドも合わせてご覧ください。
技術面では「作れるのか」を評価します。
技術面のFSが甘いと、PoC段階で「そもそも技術的に不可能だった」と判明するケースがあります。特にAIやブロックチェーンなど先端技術を活用する場合は、この検証が重要です。
近年はAI活用を前提とした新規事業が増えています。
AI領域のFS設計に興味がある方は、AI知見を持つフリーコンサルが新規事業で求められる理由も参考になります。
財務面では「儲かるのか」「投資に見合うのか」を試算します。
ROI(投資収益率)の試算は、経営層への報告で最も重視されるポイントです。楽観・中立・悲観の3シナリオで試算すると、意思決定の精度が上がります。
運用面では「回せるのか」「続けられるのか」を確認します。
「運用面の検証で見落とされがちなのが『人材の質』です。新規事業には既存事業とは異なるスキルセットが必要です。社内に適任者がいない場合、外部の専門人材を早期に投入する判断ができるかどうかが、プロジェクトの成否を分けます。」
新規事業に求められるスキルセットの全体像は、新規事業開発に求められる6つのスキルで詳しく整理しています。
FSの進め方は以下の5ステップで整理できます。一つずつ見ていきましょう。
最初に「何のためにFSを実施するのか」を明確にします。
調査範囲を広げすぎると時間とコストが膨らみます。プロジェクトの性質に応じて、重点領域を絞ることが実務では重要です。
定義した範囲に基づき、市場・技術・財務・運用それぞれの観点で調査を進めます。
情報通信白書やDX白書(IPA発行)など公的データを活用すると、調査の客観性と信頼性が高まります。
調査の結果として洗い出されたリスクや課題を整理します。
代替案がないまま次に進むと、問題が発生したときに後戻りできなくなります。
FS最大の目的は、この意思決定です。調査結果をレポートにまとめ、経営層やステークホルダーに報告し、事業の「実行」「中止」「延期」「条件変更」のいずれかを判断します。
評価で重要なのは、事前にGo/No-Goの判断基準を数値で定めておくことです。
「市場規模〇億円以上」「ROI〇%以上」「技術的障壁が〇件以下」など、客観的な基準があれば、感情に流されない判断が可能になります。
なお、FSの結果を経営層へ上申する際には、事業計画書の形に落とし込む必要があります。稟議が通る新規事業の計画書の書き方もあわせてご覧ください。
NewAceが関与したプロジェクトでは、FSの段階で定量的なGo/No-Go基準を設定していた案件ほど、後工程での大幅な計画変更が少ない傾向が見られます。
Go判断が出たら、次のフェーズに進みます。FSの成果物をPoCチームへ確実に引き継ぐことが重要です。
反対に、FSの結果として「撤退」を選択する場合の判断基準については、新規事業の撤退基準の設定方法で詳しく解説しています。
ここからは、NewAceが100件を超える新規事業プロジェクトを支援してきた中で見えてきた、FSの成功と失敗のリアルなパターンをお伝えします。
FSが有効に機能し、事業化まで順調に進んだプロジェクトには共通する特徴がありました。
NewAceの支援案件で継続率85%を維持できている背景には、FSの段階で適切な専門人材をマッチングし、調査の質を確保していることがあります。
一方で、FSが「やったつもり」で終わってしまう失敗パターンも数多く見てきました。
FSは「完璧な調査」を目指すものではありません。限られた時間と情報の中で「意思決定に必要な根拠」を効率よく集めるのがFSの本質です。
FSのレポートは「精緻で論理的」なのに、事業会社側が納得しないケースがあります。これはなぜでしょうか。
コンサルが作成するFSは、外部データに基づく「市場面」と「財務面」の分析に強みがあります。
しかし、事業会社側の「組織のリアル」たとえば社内政治、既存事業部との利害衝突、人材の稼働率は外部からは見えにくい領域です。
「私がコンサルとしてFSレポートを書いていた時代は、正直なところ運用面の検証が手薄でした。その後、自分で新規事業を立ち上げる側になって初めて、『組織がついてこない』というリスクの大きさを痛感しました。FSを本当に機能させるには、外部の分析力と内部の実行力を橋渡しする視点が不可欠です。」
こうした「外部と内部の橋渡し」の具体的な方法論については、新規事業コンサルの仕事内容と活用ポイントで掘り下げています。
FSは社内だけで完結できる場合もあります。しかし、以下の3つの条件に当てはまるなら、外部の専門人材を活用することで調査の質とスピードが大きく向上します。
まず、FSの4要素(市場・技術・財務・運用)のうち、社内に十分な知見がない領域を洗い出しましょう。
不足領域が1つでもあれば、その領域に強い外部人材をピンポイントで投入するのが合理的です。
事業開発における外部プロフェッショナルの価値については、事業開発におけるフリーコンサルの価値でも解説しています。
外部活用を決めたら、次は「誰に頼むか」です。大きくは、コンサルティングファームへの発注とフリーコンサルタントの活用の2択があります。
| 比較項目 | コンサルティングファーム | フリーコンサルタント |
|---|---|---|
| 月額費用 | 300万〜1,000万円超/人 | 120万〜300万円/月 |
| チーム構成 | マネージャー+アナリストの複数名体制 | 専門領域に特化した個人 |
| 対応スコープ | 網羅的なFS設計〜実行まで | 特定領域の深掘り調査 |
| 柔軟性 | 契約期間・スコープの変更に時間がかかる | 短期・スポットでの稼働が可能 |
NewAceに登録するコンサルタントの出身ファームはMcKinsey、BCG、Deloitte、Accenture、PwC、EYなど。ファーム在籍時と同等のスキルを持ちながら、月額120万〜300万円で稼働可能です。案件の95%がNewAce独自案件のため、他社サービスとの重複もほぼありません。
FSは一般的に数週間から数ヶ月の短期集中プロジェクトです。フルタイムの正社員を採用するほどではないが、専門知見は確実に必要 ── そんなケースでフリーコンサルタントの活用が最も効果を発揮します。
NewAceでは、FSフェーズから参画できる新規事業特化のフリーコンサルタントを100名以上ご紹介しています。
まずは案件一覧をご覧ください。
プロジェクトの規模により異なりますが、一般的には2〜12週間です。
小規模な新規事業であれば2〜4週間、大型の設備投資や海外進出を伴う場合は2〜3ヶ月かかることもあります。NewAceの支援案件では2〜8週間が多い傾向にあります。
FSは「これから始めるプロジェクト」の実現可能性を事前に評価する調査です。
一方、デューデリジェンスはM&Aや不動産取引など「既に存在する対象」のリスクと価値を精査する調査です。対象と目的が異なります。
市場・技術・財務・運用の4要素をカバーするチェックリスト型テンプレートが一般的に使われます。
ただし、プロジェクトの性質によってカスタマイズが必要です。汎用テンプレートをそのまま使うとFSが形骸化しやすいため、目的に応じた調整を推奨します。
規模が小さくてもFSは有効です。
ただし、調査の範囲と深さをプロジェクト規模に合わせて簡略化することで、過剰なコストを避けられます。小規模であっても、市場ニーズと収支見通しの最低限の確認は欠かさないことをお勧めします。
No-Go判断は失敗ではありません。投資の無駄遣いを未然に防いだ「成功」と捉えるべきです。FSの調査結果は必ず記録として残し、市場環境や技術水準が変化した際に再検討できるようにしておきましょう。
「私も過去に、FSの結果をもとに事業化を見送った判断をしたことがあります。あのとき無理に進めていたら大きな損失になっていました。No-Goの判断ができること自体が、FSの価値です。」
本記事の要点を振り返ります。
FSの精度が、その後のPoC・MVP・本格展開すべてのプロセスの成否を左右します。「とりあえず始めてみよう」ではなく、FSで根拠を固めてから動くことが、結果として最短距離になります。
NewAceは、新規事業に特化したフリーコンサルタント向けの案件マッチングサービスです。McKinsey、BCG、Deloitte、Accenture、PwC、EYなど大手ファーム出身のコンサルタントが100名以上登録しています。
FSフェーズからの参画はもちろん、PoC・事業化フェーズまで一貫して支援可能です。「社内にFS設計の経験者がいない」「新規事業に強い外部人材を探している」という方は、ぜひご相談ください!
この記事を執筆した人

長尾 浩平
新規事業創出や事業戦略の専門家として、多様な業界での経験を持つコンサルタント兼起業家。 東京工業大学大学院 生命理工学研究科、および中国・清華大学大学院 化学工学科を卒業。グローバル企業において研究開発、新規事業企画、新市場参入戦略の立案、M&A支援、DXコンサルティング、営業戦略策定など、多岐にわたる業務を担当。業界を横断した豊富な経験を活かし、事業成長と競争力強化を支援する総合コンサルティングを提供。 2024年1月にVANES株式会社を創業し、企業の持続的成長を支援。変化の激しい市場環境において、戦略立案から実行支援まで一貫したアプローチで企業価値の最大化に貢献している。
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