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【大企業担当者向け!】新規事業の立ち上げプロセスを完全解説!実践的な8つのステップとよくある失敗例

事業開発プロの新たなキャリア

2025.05.22

新規事業の立ち上げって何から始める?初めて新規事業の推進を担当することになったけど、全体の流れがつかめなくて不安…

新規事業を任されると、期待されているという嬉しさの反面、どう進めていいかわからない不安もありますよね。やみくもに動くと、他部署からの信頼を失墜させたり、準備不足でつまずくと失敗が続くかもしれません。

そこで、今回は新規事業の立ち上げの手順と成功のポイントについて紹介します!難易度の高い新規事業ですが、一定程度は型に沿って進めることもできますので、この記事を参考に、自分なりの進め方を確立してみてください。

この記事で分かること!

  • 新規事業立上の全体フロー
  • 成功するための準備方法
  • 新規事業の企画で使える実践フレームワーク

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それでは、本章をチェックください。

目次

大企業における新規事業とは?

新規事業とは、既存の枠を超えて企業が新しい価値や収益の柱を創出する活動です。特に大企業においては、社会や市場の変化に対応しながら次の成長エンジンを作ることが最大の目的となります。

  • 新規事業の定義
  • 新規事業の特徴
  • 既存事業との違い

まずは、この基本をしっかり押さえておきましょう。

新規事業の定義

新規事業とは、これまで企業が手掛けていなかった新しい製品・サービス・ビジネスモデルを企画・実行することです。

  • 既存の売上や事業領域の延長ではない
  • 新しい顧客層や市場の開拓を目指す
  • 業界の常識や自社の強みにとらわれない発想

たとえば、家電メーカーがIoT領域やBtoBソリューションに挑戦する、物流会社がITプラットフォームを立ち上げるなど、事業の軸をずらす動きが活発です。

新規事業は「新しい収益源を作る」「将来の主力事業を生み出す」ために不可欠な戦略と言えます。

新規事業の特徴

大企業の新規事業には以下のような特徴があります。

  • 未知の領域・市場にチャレンジ
  • 社内外の人材やリソースを柔軟に活用
  • 失敗リスクが高く、仮説検証型で進行
  • 意思決定の速さや現場主導が求められる

たとえば、既存事業は「安定した収益」や「効率化」が重視されますが、新規事業は「柔軟な発想」や「スピード感」「市場への適応力」が必要です。

組織の壁や縦割り体制を超えた連携も成功のカギとなります。

既存事業との違い

新規事業と既存事業の最大の違いは「不確実性とリスクの高さ」です。

  • 既存事業は市場や顧客が明確
  • 新規事業は顧客・市場の仮説から始まる
  • 成功パターンがなく、失敗から学ぶ必要
  • 社内手続きや意思決定のスピードが課題

たとえば、既存事業は過去のノウハウや実績がベースですが、新規事業はゼロからのスタート。現場でのトライ&エラーや、柔軟なピボット(方向転換)が求められるのが大きな違いです。

新規事業が求められる理由と必要性

なぜ今、多くの企業が新規事業に力を入れるのでしょうか。市場環境の変化や企業成長のため、新規事業の重要性は年々高まっています。

  • 競争力の維持・強化
  • 次世代を担う人材育成
  • 企業の成長戦略

これら3つの観点から、背景と理由を整理します。

競争力の維持・強化

新規事業は、変化が激しい市場での競争力維持・強化に直結します。

  • 既存市場の成熟や衰退リスク
  • テクノロジー進化による新規参入の増加
  • 顧客ニーズや価値観の変化

たとえば、大手メーカーが既存製品の売上低迷を受け、新領域に進出するケース。IT・AI技術の台頭やスタートアップの急成長など、今ある強みだけでは生き残れない時代になっています。

新しい事業を生み出すことが、会社全体の「生存戦略」となります。

次世代を担う人材育成

新規事業は、次世代リーダーやイノベーター育成の場にもなります。

  • 若手や中堅社員が主体的にチャレンジ
  • 新しい価値創造の経験がキャリアに直結
  • 部署や職種を超えた人材の活性化

たとえば、新規事業プロジェクトに手を挙げた若手が、数年後には経営幹部に抜擢される例も増えています。

「自ら考え動く」「失敗から学ぶ」経験が人材育成や組織活性化にも大きく貢献します。

企業の成長戦略

企業が持続的に成長するには、新たな収益源や市場の開拓が欠かせません。

  • 既存事業の成長だけでは限界
  • 新市場・新製品へのチャレンジが不可欠
  • 将来の柱となる事業ポートフォリオの多角化

たとえば、グローバル化や人口減少など、外部環境の変化に強い組織を作るためには新規事業の積極投資が重要です。

攻めと守りのバランスを取りながら、会社の未来を切り拓く役割を担っています。

新規事業を成功させる8つのプロセス

新規事業の立ち上げは、偶然のひらめきだけでは成功しません。実践現場で有効な「8つのプロセス」に分けて、具体的な進め方を解説します。

  • 事業ドメインの決定
  • ビジョン・目標の明確化
  • アイデア・課題の発見
  • 市場調査と事業性の検証
  • 製品・サービス開発
  • 資金調達と組織づくり
  • マーケティング・販売計画
  • 評価・改善とスケール

これらのプロセスを1つずつ丁寧に進めることが、成功への近道です。

事業ドメインの決定

新規事業の第一歩は、「どの領域・分野で勝負するか」を明確にすることです。

  • 会社の強みや資産を活かせるか
  • 市場規模や成長性は十分か
  • 競合他社との差別化ができるか
  • 事業責任者や推進メンバーの熱意があるか

たとえば、社内に眠る技術や知財、既存顧客基盤をベースに事業領域を絞り込む。この段階で曖昧なまま進めてしまうと、後で「なぜこの分野なのか?」と組織が迷子になりやすいです。

自社の強みと市場ニーズの交点を探し、経営陣・現場の合意を得て方向性を固めましょう。

ビジョン・目標の明確化

「なぜ新規事業をやるのか?何を目指すのか?」を明確に定義することが重要です。

  • 社内外に伝わるわかりやすいビジョン
  • 3年後・5年後の目標売上やKPI
  • 社員が共感しやすい目標像
  • ステークホルダーとの合意形成

たとえば、「5年後に●億円の新規売上創出」「業界トップのシェア獲得」など、定量・定性的な指標を設定。ビジョンや目標が曖昧なままだと、プロジェクト推進力や社内の巻き込み力も低くなります。

最初の段階で「目指す姿」を鮮明に描くことが、新規事業推進の原動力になります。

アイデア・課題の発見

次に、「どんなアイデアや顧客課題を起点にするか」を考えます。

  • 顧客ヒアリングや現場観察による課題発見
  • 社員や外部パートナーからのアイデア収集
  • 業界・技術トレンドの徹底リサーチ
  • アイデアソンやワークショップでの発散

たとえば、既存顧客の声をヒアリングして潜在ニーズを抽出したり、全社でアイデアコンテストを実施する。社外のスタートアップやベンチャーとの協業から新しい着想を得ることも有効です。

この段階では「発散と集約」を繰り返しながら、本当に解くべき課題・面白い種を見つけます。

市場調査と事業性の検証

アイデアを「本当にビジネスになるのか」を客観的に調べる段階です。

  • ターゲット市場の規模や成長性調査
  • 顧客ペルソナやカスタマージャーニーの設計
  • 競合分析や差別化ポイントの明確化
  • 仮説検証型のMVP(最小製品)のテスト

たとえば、ターゲット顧客にヒアリングやアンケート調査を行い、支払意思やニーズのリアルを把握。プロトタイプを作り、実際にユーザーに触ってもらうなど小さな検証を重ねることで、机上の空論を排除できます。

この段階で「やるべき理由があるか」「儲かる見込みがあるか」をしっかり見極めましょう。

製品・サービス開発

市場検証で一定の手応えがあれば、いよいよ「具体的な製品・サービスを形にするフェーズ」です。

  • プロトタイプや試作品の開発
  • ユーザーからのフィードバックで改善
  • 技術検証や品質評価
  • 量産・本格リリースの準備

たとえば、最初から完璧なものを作ろうとせず、「早く出して早く直す」マインドが重要です。社内外のメンバーやテストユーザーと密に連携し、「現場の声」をプロダクトに反映。

ここで大きな投資やリソース配分を決める場合は、意思決定プロセスの透明化も欠かせません。

資金調達と組織づくり

新規事業は「ヒト・モノ・カネ」すべての調達と組織設計が成否を左右します。

  • 必要な予算や資金調達方法の検討
  • 社内から人材を引き抜く・外部採用する
  • パートナー企業や外部専門家の活用
  • 専任チームや責任体制の明確化

たとえば、資金が潤沢な大企業でも「新規事業への予算配分」や「専任体制構築」は毎回の大きな課題。スタートアップ的な少人数組織を社内に作る企業も増えています。

「事業推進に集中できるチーム・環境づくり」が成果につながります。

マーケティング・販売計画

良い製品やサービスができても、「売れる仕組み」や顧客獲得戦略がなければ成功は遠いです。

  • ターゲット設定や販売チャネルの設計
  • Web・SNS・イベントなどのマーケ施策
  • 早期顧客の獲得とロイヤルユーザー育成
  • 価格戦略やキャンペーンの立案

たとえば、ITサービスならリリース直後からWeb広告やオウンドメディア運用を強化。パートナーや販売代理店を活用して顧客獲得を加速する手法もあります。

「どのように最初の10人、100人を獲得するか」のプランが明確なほど成功確率が高まります。

評価・改善とスケール

最後のステップは、「実際に事業が動き始めてからの評価と改善、そしてスケール戦略」です。

  • 売上・KPI・顧客満足度の定期評価
  • 顧客の声・市場変化への柔軟な改善
  • 次の資金調達や組織拡大の準備
  • スケール戦略(他地域・他業界展開など)の策定

たとえば、毎月の数字をもとにPDCAを高速で回し、改善点をすぐに実行。ヒットした後の「拡大戦略」や「新規市場進出」を見据え、段階的に事業規模を大きくしていきます。うまくいかない場合は、早めにピボットや撤退判断も必要。

「完璧な成功」よりも「柔軟に修正し続ける」姿勢が新規事業成功の鉄則です。

新規事業立ち上げに必要な人材・スキル

新規事業を成功させるためには、「どんな人材・スキルを揃えるか」が大きな分かれ道となります。既存事業とは異なる能力や個性が集まることで、革新的なアイデアと推進力が生まれます。

  • 情報収集力
  • 課題発見力
  • ロジカルシンキング
  • プレゼン力
  • プロジェクトマネジメント

この5つの能力はどの業界・業種でも必須です。

情報収集力

新規事業担当者には圧倒的な情報収集力が求められます。

  • 業界トレンドや顧客の最新動向をキャッチ
  • 社内外の人脈やネットワークから情報獲得
  • 新しい技術や競合他社の動きの把握
  • データを正しく読み解き判断する力

たとえば、毎朝必ず業界ニュースや競合動向をチェックする、現場の声を直接ヒアリングする習慣がある人は強いです。「知らなかった」「調べなかった」は新規事業の失敗原因No.1と言えます。

課題発見力

顧客や現場の「まだ誰も気付いていない課題」を発見する力が新規事業の原点です。

  • 表面的な要望でなく「本質的な課題」を見抜く
  • 現場に足を運び、直接観察する
  • データやヒアリングから課題の仮説を立てる
  • 小さな違和感を見逃さず深掘りする

たとえば、「顧客が本当に困っているのはどこか?」「現場の作業で無駄になっているのは何か?」を粘り強く探る力が差別化の原動力になります。

ロジカルシンキング

新規事業は曖昧な課題を論理的に整理し、道筋を立てて実行する力が不可欠です。

  • 問題・課題を分解し構造化
  • 解決策を順序立てて考える
  • ファクトやデータに基づき判断
  • 失敗した時の要因分析も論理的に

たとえば、アイデア出しから事業モデル構築、改善策まで一貫して「なぜ?」「どうすれば?」を明確にすることが、プロジェクトの成功率を高めます。

プレゼン力

新規事業は社内外への「巻き込み」「説得」スキルが成否を左右します。

  • 経営層への分かりやすい報告・提案
  • 社内メンバーや関係部署への共感づくり
  • パートナー企業や投資家へのプレゼン
  • ユーザー・顧客へのサービス価値訴求

たとえば、どれだけ良い事業案でも、伝え方ひとつで承認が下りない、仲間がついてこないケースは多いです。ストーリー性や熱量、データの裏付けを意識した「伝える力」が大切です。

プロジェクトマネジメント

最後は「全体をまとめて推進する力=プロジェクトマネジメント」です。

  • 目標やKPIの明確化と進捗管理
  • 多様なメンバー・外部パートナーの調整
  • 予算やスケジュール管理
  • リスク対応や課題解決の迅速さ

たとえば、複数の部門や外部パートナーが絡む大企業の新規事業ほど、この能力がものを言います。

「やりっぱなし」や「決めっぱなし」ではなく、最後までやり切るリーダーシップが欠かせません。

新規事業の戦略タイプと進め方

新規事業は「どんな戦略タイプを採用するか」によって、進め方や成功パターンも大きく変わります。ここでは代表的な4つの戦略と進め方を整理します。

  • 新市場開拓戦略
  • 新製品・サービス開発戦略
  • 多角化戦略
  • 市場浸透戦略

自社の強みや目標に合わせて最適なアプローチを選びましょう。

新市場開拓戦略

既存の製品・サービスを新しい市場や顧客層に展開する戦略です。

  • 地域拡大やグローバル展開
  • 異業種や新しいターゲット顧客への進出
  • 既存ノウハウを転用した新しい価値提案

たとえば、国内限定だったITサービスを海外市場に展開する、BtoC事業をBtoB向けにカスタマイズするなど。

市場調査と現地適応、現場のネットワーク構築が成功のカギになります。

新製品・サービス開発戦略

今ある市場や顧客向けに、全く新しい商品やサービスを投入する戦略です。

  • 既存顧客の新しいニーズ発見
  • 技術革新による新サービス
  • 他社との差別化ポイントの創出

たとえば、メーカーがIoTやAIを活用した新製品を開発する、既存サービスの新機能を追加するなど。

顧客ヒアリングや実験的なリリースを重ねて、早期フィードバックが重要です。

多角化戦略

自社の既存領域を飛び越えて、まったく新しい分野に挑戦する戦略」です。

  • 業界・事業領域を大胆に拡大
  • 異業種とのコラボや買収
  • 社内ベンチャーやスタートアップ投資

たとえば、自動車メーカーがエネルギーや金融事業に進出する、IT企業がヘルスケア分野に新規参入するなど。

リスクは高いですが、当たれば大きな成長が見込めます。

市場浸透戦略

既存市場・既存製品でシェアや売上の拡大を狙う王道戦略です。

  • マーケティングや販売強化
  • 新規顧客の獲得や既存顧客の深耕
  • サービス改善やカスタマーサクセス

たとえば、営業体制や広告投資を強化し、同じ市場で「競合に勝つ」ことを目指します。

新規事業初期には、既存基盤を活用した浸透戦略も有効です。

新規事業で活用できるフレームワーク

新規事業を進める上では、「思考の枠組み(フレームワーク)」を使いこなすことで、課題の整理や意思決定が一気にスムーズになります。代表的なフレームワークと活用法を整理します。

  • アイデア発想のためのフレームワーク
  • 市場調査のフレームワーク
  • 事業モデル構築のフレームワーク
  • マーケティング戦略のフレームワーク
  • 評価・改善のフレームワーク

それぞれの現場で役立つ枠組みをチェックしましょう。

アイデア発想のためのフレームワーク

新規事業の「発想・企画」段階では、アイデアを広げて深めるフレームワークが活躍します。

  • SCAMPER(既存アイデアの変化を考える)
  • オズボーンのチェックリスト
  • マインドマップ
  • ブレインストーミング

たとえば、「SCAMPER」を使って「今あるサービスを他の用途に転用できないか?」と考えたり、ブレストで異業種メンバーの意見を集めることで独創的なアイデアが生まれます。

市場調査のフレームワーク

市場調査や環境分析には、事業機会やリスクを客観的に把握するフレームワークが有効です。

  • 3C分析(顧客・競合・自社)
  • PEST分析(政治・経済・社会・技術)
  • 5フォース分析(業界の競争構造分析)

たとえば、「3C分析」で顧客像・競合・自社の強みを整理し、PEST分析で市場の外部要因を網羅的に洗い出します。事業立案の精度がグッと高まります。

事業モデル構築のフレームワーク

儲ける仕組み」を考える際は、事業モデル構築用の枠組みが役立ちます。

  • ビジネスモデルキャンバス(BMC)
  • バリュープロポジションキャンバス
  • バリューチェーン分析

たとえば、BMCで「顧客セグメント・提供価値・収益構造」などを一枚の図で整理。新規事業の全体像や課題が可視化され、関係者とも共通認識を持ちやすくなります。

マーケティング戦略のフレームワーク

「どう売るか・誰に届けるか」を決める際は、マーケティング用の枠組みを活用します。

  • 4P(Product・Price・Place・Promotion)
  • STP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)
  • カスタマージャーニーマップ

たとえば、「STP」でターゲット顧客や市場ポジションを明確化し、「カスタマージャーニー」で顧客接点や購買フローを描きます。これにより具体的なマーケ施策や販売計画が立てやすくなります。

評価・改善のフレームワーク

事業開始後は「定期的な評価と改善」が不可欠です。

  • PDCAサイクル
  • KPIツリー(重要指標の分解)
  • OODAループ(観察→方向付け→決定→行動)

たとえば、「PDCA」で毎月の実績を振り返り、KPIツリーで成果要因を可視化。うまくいかなければOODAループを意識して「素早く動いて、素早く修正」することが重要です。

新規事業を大企業で円滑に進めるためのポイント

大企業では「社内の壁や複雑な意思決定」をいかに乗り越えるかが、新規事業成功のカギです。

  • 社内体制の整備とリソース確保
  • 意思決定の迅速化
  • 社内外のネットワーク活用
  • 行政・外部専門家との連携

現場で実践できるポイントをまとめます。

社内体制の整備とリソース確保

新規事業を進めるには、専任チームの設置や柔軟なリソース確保が不可欠です。

  • 専任担当者・小規模プロジェクトチームの組成
  • 他部門・現場社員の巻き込み
  • 必要な予算・時間・人材の確保
  • 定期的な経営層のサポート

たとえば、現場主導の少数精鋭チームで素早く動ける体制を整える。リソース不足や社内調整の遅さが新規事業失敗の大きな原因となりやすいため、最初に体制面を固めましょう。

意思決定の迅速化

大企業の新規事業で最も課題となりやすいのが「意思決定の遅さ」です。

  • プロジェクト単位での権限委譲
  • 経営層・役員の意思決定フロー短縮
  • 仮説検証型の意思決定(完璧を求めない)

たとえば、稟議プロセスの簡素化や、一定範囲での現場判断権限を持たせることでスピードを上げる。「とりあえずやってみてから修正」するカルチャーが重要です。

社内外のネットワーク活用

新規事業は「社内外の多様なネットワーク」を活かすことでスピードと質が上がります。

  • 他部署やグループ会社との連携
  • OB・OGや同業他社との情報交換
  • スタートアップや外部パートナーとの協業

たとえば、技術部門や営業部門、マーケ部門など横断的な連携でアイデアが生まれやすくなります。外部のベンチャー企業とオープンイノベーションを行う企業も増加しています。

行政・外部専門家との連携

大企業の新規事業は、「行政や外部専門家との連携」も有効です。

  • 補助金や助成金の活用
  • 法律・知財・特許の専門家によるサポート
  • 大学や研究機関との共同研究

たとえば、国や自治体のスタートアップ支援施策、専門家との連携で技術・法務面の壁を乗り越える。社外ネットワークの拡大が、事業推進力の源になります。

新規事業の成功事例

実際にどのような企業が新規事業を成功させてきたのか、具体的な事例から学べるポイントを紹介します。

  • A社の新規事業例
  • B社の新規事業例
  • 海外大手企業の新規事業例

多様なアプローチや工夫がヒントになるはずです。

A社の新規事業例

A社(大手メーカー)は、本業で蓄積したIoT技術を活用し、新しいBtoBサービスに参入しました。

  • 自社工場の生産データを外部に展開
  • 顧客企業向けの生産性改善サービスを開発
  • 社内外のエンジニアチームで少数精鋭体制
  • 既存の営業ネットワークを活用し素早く実証

このプロジェクトは「社内資産の再発見と活用」「現場主導の意思決定」「素早いプロトタイピング」が成功要因でした。現場からの課題発掘と、既存事業の強みを転用したアプローチは、多くの企業に参考となります。

B社の新規事業例

B社(老舗食品メーカー)は、ヘルスケア志向の新市場に挑戦

  • 社内で社外副業人材を公募し、新規事業チームを組成
  • 消費者モニターを繰り返してニーズを深掘り
  • 他社とのコラボで商品開発をスピードアップ
  • デジタル施策で最初のファン層を育成

既存の枠を越えた「多様な人材の活用」「失敗を許容するテストマーケティング」「顧客巻き込み型開発」が功を奏しました。オープンイノベーションや越境チームによる推進は、今後の新規事業でますます重要なポイントです。

海外大手企業の新規事業例

海外の大手企業では、「新規事業専用の分社化・子会社化戦略」がよく見られます。

  • 大企業本体から切り離し、スピード感と裁量を最大化
  • 社内ベンチャー制や社外スタートアップとの連携
  • グローバル市場を視野に最初から多言語対応

たとえば、欧米のIT企業がAI・SaaS・ヘルスケア分野で独立した事業会社を設立。「本社の意思決定の遅さ」「既存事業とのカニバリ」を避け、ベンチャー的な柔軟性で成長した例も多いです。

まとめ | 新規事業プロセスの全体像

新規事業の成功には、「正しいプロセスの理解と、現場での柔軟な実践」が何より大切です。

失敗しないためのチェックポイント

新規事業でよくある失敗を防ぐには、チェックリスト型の視点が有効です。

  • 事業ドメイン・目的が曖昧なまま進めていないか?
  • ビジョンや目標が現場・経営層で共有されているか?
  • 市場調査や競合分析が十分か?
  • 本当に顧客が困っている課題に向き合っているか?
  • 仮説検証型で「小さく始めて早く修正」できているか?
  • 社内外のリソース・ネットワークを最大活用できているか?
  • 評価・改善サイクルを高速で回せているか?

この7つを節目ごとに必ず見直すことで、大きな失敗や無駄な投資を防げます。

成功に近づく実践のヒント

新規事業は「完璧を目指すより、まず動いて小さく学ぶ」が鉄則です。

  • 最初から全てを作り込まず、仮説→検証→改善を高速で回す
  • 異分野や社外とのコラボで視野を広げる
  • 現場の課題・顧客の声を徹底して拾う
  • 「やる気」と「巻き込み力」のある人材を主役にする
  • 成功事例・失敗事例のどちらも社内ナレッジとして蓄積

この姿勢が、新しい事業を生み出し続ける組織文化の土台になります。

この記事を執筆した人

  • 長尾 浩平

    新規事業創出や事業戦略の専門家として、多様な業界での経験を持つコンサルタント兼起業家。
    東京工業大学大学院 生命理工学研究科、および中国・清華大学大学院 化学工学科を卒業。グローバル企業において研究開発、新規事業企画、新市場参入戦略の立案、M&A支援、DXコンサルティング、営業戦略策定など、多岐にわたる業務を担当。業界を横断した豊富な経験を活かし、事業成長と競争力強化を支援する総合コンサルティングを提供。
    2024年1月にVANES株式会社を創業し、企業の持続的成長を支援。変化の激しい市場環境において、戦略立案から実行支援まで一貫したアプローチで企業価値の最大化に貢献している。

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