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ソフトバンクの新規事業はなぜ注目される?2030年に向けた注目分野と方向性

ポストコンサルのキャリア戦略

2025.10.04

ソフトバンク株式会社(以下、ソフトバンク)の新規事業戦略は、通信キャリアの枠を超え、社会全体のデジタル化を推進する「Beyond Carrier」戦略に集約されています。従来の通信事業を基盤としつつ、なぜ同社の新規事業がこれほどまでに注目され、非連続的な成長を実現しているのでしょうか。

本記事では、ソフトバンクの新規事業戦略を「技術」「組織」「プロセス」の三つの側面から深く掘り下げます。大企業の企画職や新規事業担当者が直面する「アイデアの質」と「実行スピード」の課題を克服するヒントとして、ソフトバンクの構造的な成功要因を分析します。


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それでは、本章をチェックください。

ソフトバンク新規事業の全体像と注力領域

ソフトバンクの成長は、通信事業で培った強固なインフラと広範な顧客基盤を「応用」し、親会社であるソフトバンクグループ(SBG)が投資する世界最先端の技術やビジネスモデルを「連携」させるオープンイノベーション体制によって支えられています。

2030年を見据えた戦略的テーマ

ソフトバンクは短期的な事業展開だけでなく、2030年代を見据えた長期的な技術基盤の構築に極めて積極的です。これは「Beyond Carrier」戦略の未来の柱となります。

特に、2030年に向けた戦略的パートナーシップにおいて、AI、クラウド、XR(eXtended Reality)、そして次世代通信規格である6Gのイノベーション推進を掲げています。

6G領域では、センチメートル波技術の有効活用を推進し、日本が6Gの技術リーダーシップを確立することを目指しています。技術応用として、XRのような新しいユースケースに対応するネットワーク設計や、電波を情報伝達だけでなく環境認識にも活用する「センシングと通信の融合」を探求しています。

通信を超える新領域への展開

ソフトバンクは通信基盤の優位性を活かし、革新的なビジネス創出・拡大を図るため、以下の8つの重点領域を戦略的基盤として定めています。

フィンテック、コミュニケーション、モビリティ、ロケーション・不動産、ヘルスケア、ビッグデータ・AI、エネルギー、セキュリティ

これらの分野は、企業のDX支援事業「DX with SoftBank」として、医療・ヘルスケア、小売・飲食、社会インフラなどの主要産業におけるDXを強力に推進しています。

AIやIoTを軸にした事業創出

特にフィンテックとヘルスケア領域では、AIとビッグデータを応用した革新的なサービスが生まれています。

フィンテックでは、SBペイメントサービスにおいて、決済システムと同一基盤からAIを活用した不正検知サービス「AI不正検知」を提供し、ECの不正取引から事業者を守るワンストップサービスを実現しています。

また、みずほ銀行との合弁会社設立によるデータ活用型融資モデルの構築は、金融業界に変革をもたらしています。両社が保有するビッグデータをAIで分析し、従来の与信審査では貸出しが難しかった層へ、スマートデバイスを通じて融資を提供します。これは、過去の実績や担保ではなく、申込者の「将来のキャッシュフローを創出する可能性」をAIが測定するという、未来志向型の与信モデルへの転換を意味します。

ヘルスケア領域では、「治療より予防」の未来型医療を目指し、オンライン健康医療相談サービス「HELPO」が日本の健康をDXしています。ソフトバンクが自社で実践し、「健康経営銘柄」に2年連続で選定された際の徹底分析と課題改善のノウハウを、法人顧客の健康管理やウェルビーイング支援へと転用している点も、事業の信頼性を高める構造です。

法人営業人材が担うソフトバンクのDX推進力

現場経験者が担う中核ポジション

ソフトバンクの新規事業開発において、共創型DXの推進チームのコアメンバーに法人営業経験者を選抜している点は、特筆すべき戦略です。

新規事業は往々にして技術優先となり、現場の真の課題から乖離しやすい傾向があります。しかし、長年顧客の最前線で活動してきた法人営業経験者は、顧客の「現場のペインポイント」や「企業が抱える本質的な課題」を深く理解しています。

営業視点が生む顧客課題の発見力

この深い顧客理解を開発の初期段階に組み込むことで、DXを単なる技術導入ではなく、顧客起点の経営変革として推進することが可能になります。これにより、顧客と一体となり課題を解決する「共創型DX」が加速します。

DX推進との高い親和性

法人営業出身者は、顧客とのリレーション構築力と、事業の全体像を捉える力を有しており、これが複数の部署や社内外を巻き込むDXプロジェクトの推進力となります。技術部門がもたらす革新的な技術と、営業部門がもたらす現場のニーズを的確に融合させることが、ソフトバンクのDX推進力の核心です。

新規事業の共創モデルとその仕組み

社内外連携による事業共創体制

ソフトバンクの新規事業開発を特徴づける最大の要素は、親会社であるSBGの強力な投資先企業群との戦略的な連携です。

SBGが投資する世界の有力企業群の成功モデルや最先端技術を活用できるため、自社でゼロからビジネスを立ち上げる必要がなく、少額の投資でリスクを抑えながら早期に日本市場でビジネスを展開できます。さらに、国内で成功した事例は、海外グループ企業との連携を通じて再び海外市場へ展開され、グループ全体での「スパイラルアップ」(螺旋状の成長)を生み出す構造を構築しています。

スピード重視の開発プロセス

社内からのアイデア発掘を促す中核的な制度として、2011年度から実施されている新規事業提案制度「ソフトバンクイノベンチャー」があります。ソフトバンクグループ各社の社員であれば誰でも提案可能であり、2013年度からは新卒内定者も対象に含まれています。

この制度では、社内起業家の育成を後押しするため「イノベンチャー・ラボ」も展開され、スタートアップの知識や新規事業企画のノウハウを学ぶプログラムを提供しています。

経営層が関与するトップダウン型支援

イノベンチャーの運営では、参加者が「これに賭けたいというアイデアになかなか出会えない」という課題が認識されました。これは、大企業の社員が業界の最先端で本質的な課題にアクセスすることが難しいという構造的な課題を示しています。

この課題を克服するため、イノベンチャーは外部の業界専門家と接点を持つ機会を設け、事業アイデアの精度を高める取り組みを行っています。強い熱意を持った社員の「ボトムアップ」のエネルギーを、「トップダウン」や「外部知見」によって本質的な課題解決へと導く仕組みが構築されています。

情報活用と意思決定を支えるデータ駆動型イノベーション基盤

新規事業開発の成功は、市場調査から意思決定に至るまでの時間と、その判断を下す情報の質に決定的に左右されます。ソフトバンクは、この二つの要素を最大化するために、情報プラットフォームへの戦略的な投資を行っています。

SPEEDA/INITIAL活用による情報収集の劇的効率化

新規事業の企画立案フェーズにおいて、不可欠な企業・業界調査は、従来、多くの時間と労力を要するボトルネックでした。ソフトバンクの新規事業開発室では、経済情報プラットフォームであるSPEEDAとスタートアップ情報リサーチサービスであるINITIAL Enterpriseを戦略的に導入しています。

この併用により、丸2日間かかっていた企業・業界調査の工数が、たった2〜3時間で完了するという劇的な効率化を実現しました。

データドリブンな判断基盤の高度化

情報探索のリードタイム短縮は、単なる業務効率化に留まりません。確保された時間を、提携候補となるベンチャー企業の技術やプロダクトの詳細な定性分析、ジョイントベンチャー設立における資本政策の検討といった、より高度で専門的な戦略的意思決定業務に振り分けることが可能となりました。

これにより、競合他社に先駆けて市場の機動性を高め、新規事業開発の競争優位性を確立する手法を確立しています。この情報プラットフォームの活用は、新規事業開発室だけでなく、グローバル営業本部など幅広い組織に展開され、全社的なデータ駆動型意思決定基盤の構築に貢献しています。

AIデータ基盤の構築と応用

ソフトバンクは、収集・分析したデータを経営判断に活かすため、DatabricksのAIデータ基盤を活用した新サービスを開始しました。この取り組みは、リアルタイム分析やAI導入の実用化を通じて、顧客企業の経営判断や意思決定の高度化を後押しするものです。

この事業展開には、ソフトバンク自身のDX実践の構造が反映されています。自社の新規事業開発で成功した「情報収集、分析、意思決定のスピードアップ」のノウハウと技術(SPEEDA/INITIALやDatabricksの活用)を、「DX定着化支援サービス」として法人顧客に提供しているのです。

まとめ:ソフトバンクの事例から学ぶ、非連続な成長を実現する鍵

ソフトバンクの新規事業戦略が示す最大の教訓は、アイデアの優位性だけでなく、それを支える「実行のスピード」と「情報の質」が成功を決定するということです。

彼らの成功要因を構造的に捉えると、以下の3点が鍵となります。

  1. 外部知見の活用によるリスクと時間の圧縮: SBGの投資先から最先端技術を迅速に取り込み、ゼロからの開発リスクを抑えている点。
  2. 顧客起点主義の徹底: 法人営業経験者をコアに据え、現場の真の課題を確実に捉える体制を構築している点。
  3. 情報探索のボトルネック解消: SPEEDA/INITIALといった専門ツールを戦略的に導入し、リサーチ時間を劇的に短縮し、戦略的思考にリソースを集中させている点。

特に、情報探索とリサーチにかかる時間を劇的に効率化し、その時間を「より高度な戦略的検討」に振り分けるプロセスは、多くの新規事業担当者が直面する共通の課題に対する最も具体的な解決策です。

もしあなたが、ソフトバンクのように最先端の技術とビジネスモデルを迅速にリサーチし、事業アイディアの精度を高めたいとお考えであれば、ぜひNewAceをご活用ください。NewAceは、新規事業担当者が直面する情報探索のボトルネックを解消し、構造理解と実行スピードを両立させるための情報インフラとして、あなたの事業開発を強力にサポートします。

この記事を執筆した人

  • 長尾 浩平

    新規事業創出や事業戦略の専門家として、多様な業界での経験を持つコンサルタント兼起業家。 東京工業大学大学院 生命理工学研究科、および中国・清華大学大学院 化学工学科を卒業。グローバル企業において研究開発、新規事業企画、新市場参入戦略の立案、M&A支援、DXコンサルティング、営業戦略策定など、多岐にわたる業務を担当。業界を横断した豊富な経験を活かし、事業成長と競争力強化を支援する総合コンサルティングを提供。 2024年1月にVANES株式会社を創業し、企業の持続的成長を支援。変化の激しい市場環境において、戦略立案から実行支援まで一貫したアプローチで企業価値の最大化に貢献している。

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