事業開発プロの新たなキャリア|2025.10.04
トヨタの新規事業の全貌とは?未来を変えるプロジェクト実例まとめ
自動車産業が「100年に一度の変革期」にある中、日本の巨大企業であるトヨタは、既存の枠組みを超えた新規事業を次々と展開しています。...
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事業開発プロの新たなキャリア
2025.07.02
共創ってどういう意味?最近よく聞くけど、「協力」や「コラボ」と何が違うの?
共創という言葉を知らずに取り組んでも、関係者の温度差が生まれてしまうかもしれません。共創とは、異なる立場や組織の人々が協力し、共に新しい価値を生み出す活動のことです。この活動が具体的に何を指すのか、他の活動との違いとは何でしょうか?
この記事では、共創の意味や種類、協創・コラボレーションとの違いと成功事例について紹介します。これを機に、各種言葉と活動内容を理解して、新規事業を前に進めましょう!
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それでは、本章をチェックください。

共創は今、多くの企業や組織で重視されるキーワードです。なぜ、共創がこれほどまでに重要視されるのでしょうか?
この4点を理解することで、ビジネス現場で共創をどう活かすかが明確になります。次のパートから順に具体的に解説していきます。
共創(コ・クリエーション)は、単なる共同作業や協力とは違い、異なる立場や専門性を持つ複数の人・組織が、一緒に新しい価値や成果を生み出すアプローチです。お互いの強みや知恵を持ち寄り、一人ひとりだけでは到達できない新たなゴールを目指します。
共創が重視される理由は、急速に変化する社会や市場で、一社や一人の力だけでイノベーションや課題解決が難しくなってきているためです。従来の枠にとらわれない、新しい発想や行動を引き出す手段として、共創が選ばれています。
例えば、メーカーと消費者が一緒に商品を開発したり、異業種の企業同士が新規サービスを立ち上げたりする事例が増えています。こうした共創のプロセスでは、参加者全員が主役となり、自由なアイデアや気づきが生まれることが多いです。
自社だけのノウハウやリソースだけでは解決できないテーマに、他者の知見や技術を加えることで、まったく新しい価値が生まれることも珍しくありません。共創は「ともに創る」という意味ですが、主体的に巻き込み合いながら前進することが最大の特徴です。
共創がビジネス現場で注目を集める理由は、いくつかの社会的変化が背景にあります。従来の方法だけでは、時代のスピードや複雑化する課題に対応しきれないと感じる人が増えてきました。
こうした背景から、今や多くの企業で共創が戦略の柱となっています。1つずつ見ていきましょう。
かつては「自分たちだけで全てを賄う」ことが競争力とされてきました。しかし、テクノロジーの進化や社会の変化が速くなった今、1社や1人の力だけでは乗り越えられない問題が増えています。
たとえば、最先端のAIやデジタル技術は、もはや一部門や1社だけでカバーできる時代ではありません。
また、他業種との連携や、外部パートナーとの協力が前提となるケースが増えています。新しいサービスや事業を立ち上げる際、最初から「他社や異分野の専門家と一緒にやろう」という前提でプロジェクトが組まれることも珍しくありません。自前主義の限界が、多様な連携や共創への転換を促しています。
現代は、消費者の価値観やニーズが多様化しています。一律のサービスや製品では満足できない人が増えており、カスタマイズや個別対応が求められています。
一人ひとりの好みや考え方が違う中で、企業は柔軟に対応する必要があります。このため、他者との共創によって多様な視点や専門性を取り入れ、幅広い顧客ニーズに応える取り組みが加速しています。
例えば、ファッションブランドがユーザーのアイデアを取り入れて新商品を企画したり、IT企業が外部クリエイターと協力して新サービスを開発する動きが拡大しています。こうした事例からも、共創の重要性が浮き彫りになっています。
地球規模の課題や、地域社会の課題が顕在化する中、1社だけでは取り組みきれないテーマが増えました。サステナビリティやSDGsが注目され、官民連携や産学連携のプロジェクトも盛んになっています。
たとえば、自治体と企業、市民が連携して街づくりを進めるケースや、大学・研究機関と企業が社会インパクトの大きいテーマに共同で挑戦する事例が増えています。社会課題の解決が、今やビジネスの中心的なテーマになっています。
従来型の「売上拡大」や「利益最大化」だけでなく、「社会や地域を良くする」という目的で共創を志す企業が増えているのです。このような背景が、共創の広がりと定着を支えています。
共創の最大の目的は、「ひとりでは生み出せない価値を、他者と共に実現すること」です。実際のビジネス現場では、共創の効果は次の3つに大きく分けられます。
共創を活用すると、自社だけでは思いつかない革新的なアイデアや新技術が生まれることがあります。外部パートナーとのコラボレーションによって、思わぬシナジーが生まれるからです。
たとえば、自動車メーカーがIT企業と組み、新しいモビリティサービスを生み出したり、食品メーカーが大学と連携して次世代食品を開発した例があります。自前だけでは難しい課題も、共創によって現実化できるのが大きな魅力です。
共創の取り組みを通じて、企業イメージやブランド価値が高まるケースも増えています。社会貢献性やオープンな姿勢が、顧客や投資家から評価されるためです。
たとえば、企業が地域住民と一緒に社会課題に挑戦したり、学生やスタートアップと新しい価値づくりに取り組むことが、PR効果やブランドアップにつながることが多いです。社外との連携によるポジティブな印象は、企業の競争力にも直結します。
共創をきっかけに、企業や組織の枠を超えたコミュニティが形成されることもあります。新しいネットワークや協力関係が生まれ、持続的なイノベーションにつながります。
たとえば、異業種交流のプラットフォームや、共創型のオープンラボを運営する企業が増加中です。横断的なつながりが、組織の柔軟性や変化対応力を高めます。
このように、共創の目的や効果は多岐にわたります。今後は、企業活動の「土台」として、ますます共創が求められるでしょう。
共創がなぜ現代ビジネスに不可欠なのか。その理由は大きく3つあります。
これらを実感した企業や組織こそ、共創に力を入れ始めています。次章では、「共創と協創・コラボレーションの違い」を解説しますので、ぜひ続けて読んでください。

共創・協創・コラボレーションは、どれも「一緒に何かをする」という意味で使われがちです。しかし、実際のビジネス現場ではそれぞれの役割やゴールが異なります。
言葉の定義や使い分けを知ることで、最適なパートナーシップを築くヒントが得られます。ここからは違いを具体的に見ていきましょう。
オープンイノベーションは、社外のアイデアや技術を積極的に取り入れ、自社の枠を超えて新たな価値を生み出す考え方です。一方、共創はパートナーと同じ目線で、ゼロから価値をつくり上げる点が特徴です。
オープンイノベーションが「外から中へ取り込む」イメージに対し、共創は「対等な立場で一緒に創る」アプローチです。このため、共創はオープンイノベーションの一部でもあり、さらに深い協力関係を前提としています。
たとえば、ある企業が大学の技術を取り入れて商品化するのは「オープンイノベーション」です。
しかし、大学の研究者や学生と一緒に市場調査や開発まで全工程を共にする場合、それは「共創」といえます。
また、共創は「全員が主役」となるため、発言や意思決定の自由度が高く、現場のアイデアがダイレクトに活かされる特徴もあります。パートナーと「同じゴールを設定し、一緒に進める」のが共創の本質です。
共創には主に3つのタイプが存在します。目的や関係性によって、アプローチや成果の形が大きく変わります。
ここからは、それぞれの特徴や進め方について詳しく見ていきます。
双方向型の共創は、お互いに意見やアイデアを出し合い、常に対話しながらプロジェクトを進めるスタイルです。上下関係や主従関係がなく、フラットな立場で相互に影響を与え合うのが最大の特徴です。
この型が効果を発揮するのは、「新しいアイデア」や「未知の課題」に挑戦したい場面です。多様な視点や経験を持つメンバーが集まることで、独創的な発想やイノベーションが生まれやすくなります。
たとえば、複数の企業や自治体、NPOが一つの社会課題に向き合い、ワークショップ形式で解決策を探るときに適しています。参加者全員の「気づき」や「発見」を大切にするスタイルです。
ある製造業の例では、技術者と営業、さらには顧客も交えたワークショップで、従来にはない製品アイデアが生まれたことがあります。こうした現場感覚やニーズがそのまま企画や開発に活かされるのが双方向型共創の強みです。
一方で、方向性やビジョンがブレやすいリスクもあるため、リーダーやファシリテーターが目的を明確に保つ工夫が必要です。目的が見えなくなったときは、もう一度ゴールや課題を共有し直すことで、再び一体感を取り戻すことができます。
双方向型の共創は「みんなで本音をぶつけ合いながら、新しい何かを作りたい」ときに最適な選択肢です。
共有型の共創は、複数の組織や個人が資源や情報を持ち寄り、それを「みんなのもの」として使いながら協力する形です。アイデアやリソースを共有することで、一人ではできない大きな成果を目指します。
共有型では、参加者の立場や役割にある程度の違いがあっても、「共通の資産」を中心に協力関係が築かれます。たとえば、企業が共同でデータベースや研究施設を運用するケースがこれにあたります。
医療分野では、複数の病院や製薬企業がデータやノウハウを持ち寄り、新薬の開発や臨床試験に役立てる事例が増えています。このとき、成果も参加者全員で分かち合うのが共有型共創の基本です。
情報漏洩やルール違反などのリスクもあるため、最初に「何をどこまで共有するか」をしっかり合意しておくことが欠かせません。トラブルや誤解を防ぐためにも、契約や規約を明文化しておくと安心です。共有型の共創は「単独では負担が大きい」「規模のメリットを活かしたい」ときに特に効果を発揮します。
提携型共創は、あらかじめ明確に「役割分担」や「目標」を決めて連携するタイプです。お互いの強みや専門性を活かして、効率的に成果を生み出したい場合に向いています。
この型では、「誰が何を担当するか」「ゴールはどこか」をはっきり決めるため、プロジェクト管理や進行もスムーズです。例えば、大企業とスタートアップが特定の技術やサービスで協力し合う場面でよく使われます。
最近では、自動車メーカーとIT企業が共同でモビリティサービスを開発するなど、異業種間での提携型共創が増えています。成功するためには、事前の調整やコミュニケーションが重要になります。
また、予想外の課題や変更にも柔軟に対応できる体制を作っておくと、さらに良い結果を得られます。提携型は「短期間で成果を出したい」「それぞれの得意分野を活かしたい」ときに選ばれることが多いです。
このように、共創には目的や状況に合わせたさまざまなアプローチがあります。自分のビジネス課題に合ったタイプを選ぶことで、より大きな成果につなげていきましょう。

共創をビジネスで実践する最大の魅力は、「自分たちだけでは絶対に生み出せない価値」を手にできる点です。今の時代、単独で戦うよりも「他者との共創」が大きな成果を引き寄せることが増えています。
それぞれのメリットを詳しく解説していきます。
共創のメリットとして特に大きいのが、お客さま自身の声や体験を商品やサービスに直接反映できることです。企業だけでは気付けない「本当のニーズ」にたどり着けます。
これは市場の変化が激しい現代だからこそ、大きなアドバンテージです。実際に顧客と一緒に考えることで、納得感や満足度が格段に高まります。
たとえば、家電メーカーがユーザーの意見を取り入れて開発した調理家電は、発売直後からSNSで話題に。実際にユーザーの「こんな機能がほしかった!」という声が多く、売上も伸び続けています。
また、IT企業がエンドユーザーとワークショップを繰り返しながら新サービスを開発したケースでは、リリース直後から定着率や継続率が高いという結果が出ています。「現場の生の声」がイノベーションの原動力になっているのがよく分かります。
商品化前の段階で顧客やユーザーと一緒に試作品を作り、意見を反映しながら改善する「プロトタイピング」も、共創の代表的なアプローチです。これにより市場での失敗リスクを最小化できるメリットも大きいです。
お客様目線のものづくりやサービス設計をしたい方には、共創の導入が欠かせません。まずは社内外の関係者を巻き込んで、小さな共創プロジェクトから始めてみましょう。
共創の効果は、アイデアやサービス面だけではありません。実際に業績アップやコストダウンという形でも成果が表れています。なぜなら、多様な知恵やリソースを組み合わせることで、効率よく開発やマーケティングが進み、無駄なコストを抑えることができるからです。また、新たなパートナーとの協業により、新規市場や顧客層を開拓するきっかけにもなります。
例えば、食品メーカーが他社と共同で原材料を調達することでコストダウンに成功。余ったリソースを新商品開発や販促活動に回せるようになり、業績改善につながりました。さらに、大手メーカーとスタートアップが共同で商品を開発した場合、スタートアップ側の開発スピードと、大企業側の販路や生産力が組み合わさり、短期間で大きな成果をあげた事例もあります。これにより、従来の「長期的な開発」よりも、スピーディーな収益化が可能になっています。
財務インパクトを重視する経営層にも、共創のメリットは明確です。成功事例をベンチマークしながら、現場レベルでの「早期収益化」を実感しましょう。
共創の魅力は、普段なら接点のない相手や、業界の枠を超えたネットワークを作れることにもあります。これまで「常識」だったルールや関係性の壁を壊し、新しい価値を生み出す場になります。特に近年は、異業種や異分野との連携によって、斬新なプロジェクトや商品が次々と誕生しています。自分たちだけでは考えつかなかった視点やノウハウに出会えるのが大きな強みです。
実際、製造業とIT企業、自治体、大学、NPOなどが一緒に取り組む共創プロジェクトが急増中です。
こうしたネットワークは単なるビジネスだけでなく、社会課題解決にも活かされています。たとえば、災害時に異業種や異組織が迅速に連携し合うことで、より早い支援や新しい仕組みづくりが実現しています。今まで関わりのなかった人たちとも、「共通の目的」があれば強力なパートナーになれるのです。
今の業界の枠や役割分担にとらわれず、一歩踏み出すことで、まったく新しい世界が開けます。自分の組織だけでは広がらないチャンスを、共創でつかみましょう。
共創の最大の効果の一つが、「自分では絶対に思いつかない」発想やイノベーションが生まれることです。多様な専門性やバックグラウンドを持つ人たちが集まるからこそ、斬新なアイデアが生まれやすくなります。
日常業務だけではどうしても固定観念にとらわれがちですが、共創の場は「自由に意見を出せる空気」があり、新しいチャレンジも歓迎されます。だからこそ、イノベーティブなプロジェクトやプロダクトが誕生するのです。
たとえば、大手企業の中で生まれた「共創型新規事業開発プロジェクト」では、若手社員からベテラン、外部クリエイターまで集まり、半年で10個以上の新サービスアイデアが出ました。普通の会議では絶対に出てこない、自由で柔軟な発想が一気に形になったのです。
また、スタートアップとの共創プロジェクトでも、「当初は予想もしていなかった新しい市場」に進出できたケースが少なくありません。このように、共創の現場は「失敗を恐れず挑戦できる安全な場所」としても機能します。
新しい発想やチャレンジを求める方は、ぜひ共創の場を活用してみてください。思いもよらない発見が、必ずあなたのビジネスを次のステージに導きます。

共創を自分の仕事やプロジェクトでどう取り入れるか悩む方も多いはずです。ここでは、ビジネスで成果を出すための共創のパターンと、実際の企業による実践例を紹介します。
この流れを理解することで、すぐに行動に移せるヒントが得られます。
成功する共創には、必ず押さえておきたい2つの大切な要素があります。これを意識することで、チームや組織が自然と前向きに動き出します。
共創を始めるとき、最初に決めておきたいのが「なぜ共創するのか」というパーパス(目的)です。
目的がはっきりしているほど、参加者のモチベーションも高まり、プロジェクト全体に一体感が生まれます。目的設定が曖昧だと、方向性がブレたり、途中で意見が対立しやすくなります。シンプルで具体的なパーパスを設定しましょう。
例えば、「地域課題の解決」「新しい顧客価値の創出」「業界横断のイノベーション」など、誰もが納得できる言葉を掲げると一体感が高まります。
食品メーカーとスタートアップが「次世代フード開発」をパーパスにした場合、専門知識や技術が違っても、お互いの強みを持ち寄るきっかけになります。「なぜやるのか?」を定期的に確認するだけで、チームのモチベーション維持にも効果的です。
共創の成功には「参加者がフラットに話せる場づくり」も欠かせません。意見やアイデアが自然と出る場があるかどうかで、結果が大きく変わります。オンライン・オフライン問わず、自由に発言できる「場」を意識して作りましょう。全員が主役になれる雰囲気が重要です。
大手企業の共創ラボでは、業界や肩書きを超えて参加できる「オープンな空間」が人気です。また、SlackやTeamsなどのデジタルツールを使い、どこからでも気軽に参加できる場も増えています。
「この場なら思い切って発言できる!」という空気感がイノベーションを生みます。共創の場づくりに悩んだら、まず「誰でも発言できるか?」をチェックしてみましょう。
実際に多くの企業が取り入れている共創手法は、「探究」「実験」「実装」の3つに分けられます。どのステップも柔軟に行き来しながら進めるのが特徴です。
共創プロジェクトの第一歩は、「今までにない課題やテーマを探し出す」ことです。この段階では、じっくり時間をかけて現場の声やトレンドを集め、みんなで対話を重ねます。探究のフェーズで大切なのは、最初から答えを出そうとせず、広く深く「問い」を投げかける姿勢です。チーム全員が自由に意見を出し合えると、より多様な可能性が見えてきます。
IT企業が新サービス開発の共創を始める際、エンドユーザーや現場担当者を交えて「今の困りごと」「こうなったら嬉しい」をひたすら集めるケースがあります。このプロセスを丁寧に行うことで、後のアイデアがより実践的なものになります。
探究で見つかった課題やアイデアを、実際に「やってみる」のが実験フェーズです。ここでは、スモールスタートでまず試してみる柔軟さが大切になります。実験の強みは、失敗を恐れずに素早く検証できる点です。小さく始めて、改善点を見つけながら何度もやり直すことで、現場に合った最適解が見えてきます。
メーカーが新商品の機能やデザインをユーザーと一緒に試し、フィードバックをもらいながらブラッシュアップする例が増えています。「最初から完璧」を目指すより、「どんどん試して改善」する流れが現場では支持されています。
実験の回数が多いほど、現場に合うベストな答えが見えてきます。共創で大切なのは「失敗OK」の空気です。
実験で成果や手応えを感じたアイデアを、実際の事業やプロダクトとして「本番投入」するのが実装フェーズです。この段階では、プロジェクトマネジメントやコスト管理など、実務的な視点も求められます。実装のコツは、スピード感を持って市場や現場に展開すること。実装した後も、利用者の声を聞き続け、さらに改善を重ねることで長く愛される商品やサービスに育てられます。
IT企業が社内外で開発した新サービスを、限定ユーザーで先行リリースし、細かい修正を重ねながら本格展開した例があります。最初は小さな成功でも、スピード感と柔軟さで一気に成長できるのが実装フェーズの強みです。
ここからは、実際の企業や団体による先進的な共創事例を紹介します。あなたのプロジェクトや組織でもヒントになるはずです。
LINKSPARKは、西日本電信電話株式会社(NTT西日本)が展開する共創型のオープンラボです。多様な企業やスタートアップ、自治体、大学と連携し、新しいサービスやビジネスモデルを共に生み出す拠点として注目されています。
LINKSPARKの特徴は、だれでも自由に参加できる「オープンな空間」と、リアルとオンラインを融合した多様な共創イベントです。参加者がフラットな関係で議論できる場をつくることで、想像以上のアイデアやプロジェクトが生まれています。
たとえば、「地域のデジタル化」や「防災・減災」をテーマに、自治体や市民、企業、研究者が集まり、それぞれの立場から課題と解決策を出し合うプロジェクトも進行中です。現場から出た課題や要望が、そのまま新規事業やサービスに反映されているため、現場の納得感や導入効果も高いです。
共創型の「場」を体験したい方は、LINKSPARKのようなオープンラボに参加するのが近道です!
アウディジャパンが岩手県八幡平市で実施した「Audi Sustainable Future Tour Hachimantai」は、自動車メーカーと地域・地元企業・観光業者・自治体が一体となった共創プロジェクトです。本プロジェクトでは、「サステナブルな地域観光の未来」をパーパスに掲げ、e-モビリティ体験や環境に配慮した観光資源づくりをみんなで実践しました。企業の技術力と地域の強みを合わせることで、持続可能な新しい観光モデルが形になっています。
参加者同士のネットワークがそのまま今後の地域振興プロジェクトにもつながるなど、「一回きりで終わらない関係性」も生まれました。異業種・異分野を巻き込んだ共創の代表例として、多くの企業や自治体が参考にしています。
T-BASEは、株式会社博展が展開する「共創スタジオ」です。企業、スタートアップ、クリエイターが集い、「まだ世の中にない価値」をともに作り出す拠点として注目されています。T-BASEの最大の特徴は、イベントやワークショップ、ピッチコンテストなど「多彩な共創プログラム」が常に開かれていること。この仕掛けにより、多様な人材やアイデアが毎回新しい化学反応を生み出しています。
共創型スタジオを通じて、異業種や外部パートナーとのネットワークを作りたい方には特におすすめです。最初は小さな参加でも、気が付けば大きなプロジェクトや事業の中心メンバーになっていることも珍しくありません。今の環境を一歩飛び出して、共創の現場で新しい出会いと刺激を楽しみましょう!

ここでは、実際の企業がどのように共創を活用し、成果につなげているかを紹介します。さまざまな規模・分野の成功例を知ることで、共創を自分の現場で生かすヒントが得られます。
それぞれ具体的に見ていきましょう。
ソニーは長年にわたり、社内外での共創を強化してきた企業です。特に注目すべきは「新規事業創出プログラム」や、外部パートナーとのオープンイノベーションに積極的な点です。
社内公募による新規事業提案制度「Seed Acceleration Program(SAP)」では、社員が自らアイデアを提案し、外部の専門家やスタートアップとも連携しながら事業化を目指します。実際にSAPから生まれた製品の多くが、国内外でヒット商品となっています。
たとえば、デジタルペーパーやaiboなどのプロダクトは、共創的な開発プロセスが生み出した成果です。多様な専門家・エンジニア・クリエイターが交わることで、斬新な発想やスピーディな開発が可能になりました。
自社の力にこだわらず、外部のリソースやネットワークも積極的に活用する姿勢が、ソニーの共創の強みといえます。
大手企業同士、または業界の垣根を越えた企業間連携による共創事例も急増しています。それぞれの強みを組み合わせて、スピーディかつ効率的に新事業や新サービスを展開しています。
たとえば、トヨタ自動車とパナソニックは、スマートシティ構想でパートナーシップを組み、次世代のまちづくりに挑戦しています。自動車・住環境・IT・エネルギーの知見を融合することで、より快適で安全な生活環境を共に創出しています。
また、食品メーカーと流通企業が連携し、新しい宅配サービスや健康志向商品の共同開発に取り組むケースも増えています。これにより消費者の多様なニーズに即応でき、市場の変化にも強くなれるというメリットがあります。
ここ数年で特に注目されているのが、大手企業とスタートアップの共創です。スピード感や柔軟性、既存の枠にとらわれない発想を取り入れることで、イノベーションの幅が一気に広がります。
代表的な例は、三井不動産が運営する「31VENTURES」や、日立製作所によるスタートアップ協業プログラムなどです。大企業側は資金や販路・開発インフラを、スタートアップ側は独自技術や新発想を提供し合い、互いにとって大きな成長のチャンスになります。
実際、金融・不動産・医療など幅広い分野で、スタートアップとの共創による新サービスや事業創出が次々と成功しています。「異質なもの同士」がぶつかることで、これまでにないユニークな解決策や新市場を生み出しています。
既存の考え方や枠組みに限界を感じたときこそ、外部と積極的に手を組む姿勢が未来を切り開きます。
共創は今、単なる流行ではなく「新しい価値や成果をつくるための最強の手法」として多くのビジネス現場で選ばれています。そのために必要なのは、「目的」と「場」、そして相手との本音の対話とチャレンジ精神です。
もし、今の環境や業務に少しでも閉塞感やマンネリを感じているなら、「誰かと共創してみる」ことから始めてみませんか?自分の殻を破ることで、あなたのキャリアや組織にきっと新しい可能性が開けます。
この記事を執筆した人

長尾 浩平
新規事業創出や事業戦略の専門家として、多様な業界での経験を持つコンサルタント兼起業家。 東京工業大学大学院 生命理工学研究科、および中国・清華大学大学院 化学工学科を卒業。グローバル企業において研究開発、新規事業企画、新市場参入戦略の立案、M&A支援、DXコンサルティング、営業戦略策定など、多岐にわたる業務を担当。業界を横断した豊富な経験を活かし、事業成長と競争力強化を支援する総合コンサルティングを提供。 2024年1月にVANES株式会社を創業し、企業の持続的成長を支援。変化の激しい市場環境において、戦略立案から実行支援まで一貫したアプローチで企業価値の最大化に貢献している。
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