ポストコンサルのキャリア戦略|2025.10.04
ソフトバンクの新規事業はなぜ注目される?2030年に向けた注目分野と方向性
ソフトバンク株式会社(以下、ソフトバンク)の新規事業戦略は、通信キャリアの枠を超え、社会全体のデジタル化を推進する「Beyond ...
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ポストコンサルのキャリア戦略
2025.08.01
世界最高の戦略コンサルティングファームとして知られるマッキンゼー・アンド・カンパニー(McKinsey & Company)は、その報酬水準においても業界の頂点に立っています。マッキンゼーの給与体系は、極めて高い知的能力とパフォーマンスを要求する業務への対価であり、個人の成果が報酬に厳密に反映されるハイリスク・ハイリターンな構造が特徴です。
本記事は、戦略コンサルタントを目指す方やキャリアアップを検討している方に向けて、最新の調査結果に基づき、マッキンゼーの報酬の全体像から、役職別・年次別の具体的な給与テーブル、そして高額な報酬の裏側にある評価と賞与の仕組みを詳細に解説します。
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それでは、本章をチェックください。
目次
マッキンゼーの年収を語る上で、まず認識すべきはデータの「情報源」による差異です。複数の調査結果が存在するため、自身の年収目標設定や他社比較を行う際には、その背景を理解しておくことが重要です。
特定のハイクラス転職サイトの登録者データ(2025年10月時点)によれば、マッキンゼーの平均年収は1,842万円に達するとされています 。一方で、別の調査データでは、マッキンゼーの日本オフィスにおける平均年収は 1,207万円(平均年齢32歳)と推定されています 。
この大きな開きは、調査対象者のサンプルの偏り(例:転職市場に出る高所得層のみを抽出しているか、全社員の平均を算出しているか)によって生じると推測されます。いずれのデータを見ても、マッキンゼーが日本の他企業と比較して圧倒的な高報酬を提供している事実に変わりはありません。
マッキンゼーの報酬構造の核心は、中央値(平均)の高さだけでなく、パフォーマンスに応じた年収のばらつきの大きさにあります。これは、同社が厳格な実力主義を採用していることの表れです。
以下の年代別データは、平均年収と最高年収の間に明確な差が存在することを示しています 。
年代 | 平均年収 | 最高年収 |
25~29歳 | 774万円 | 1,400万円 |
30~34歳 | 1,215万円 | 2,000万円 |
35~39歳 | 1,601万円 | 3,000万円 |
40~44歳 | 1,456万円 | 5,000万円 |
特に、20代後半や30代前半の最高年収が平均年収を大きく上回っている点(例:25~29歳で約600万円以上の開き)は、標準的な固定給と最低ボーナスを受け取る社員層と、傑出した成果を上げ、多額の業績連動賞与を獲得したトップパフォーマー層との間で、報酬の二極化が進んでいることを示唆しています 。
マッキンゼーの総報酬パッケージは、以下の二つの要素で構成されています。
マッキンゼーの報酬が高い最大の理由は、このボーナスの「ハイリスク・ハイリターン」な設計にあります。ボーナスは、評価が低ければゼロになる可能性がある一方で、最高評価を獲得すれば基本支給額の2倍にも達するケースがあるとされています 。この変動性の高さが、コンサルタントに対し、常に高水準な成果を出し続けることを強いるインセンティブとして機能しています。
マッキンゼーのキャリアパスは、迅速な昇進トラックが特徴であり、約2~3年ごとに職位が上がり、それに伴って年収は飛躍的に増加します。
マッキンゼー日本オフィス 役職別推定年収レンジおよび年次目安
役職名 | 年収推定レンジ(下限〜上限) | 推定到達年次(入社後) |
ビジネスアナリスト (BA) | 600万円〜800万円 | 0〜2年目 |
ジュニアアソシエイト (JA) | 800万円〜1,200万円 | 2〜4年目 |
アソシエイト (A) | 1,200万円〜1,500万円 | 4〜5年目 |
エンゲージメントマネージャー (EM) | 1,500万円〜2,000万円 | 5〜7年目 |
アソシエイトパートナー (AP) | 2,000万円〜4,000万円 | 8〜10年目 |
パートナー (P) | 4,000万円〜5,000万円+ | 10〜20年目 |
シニアパートナー (SP/Director) | 数億円〜(推定) | 20年目〜 |
新卒または実務経験2年未満で入社した場合の初期職位です。
主にMBA取得者や実務経験豊富な中途採用者が入社する職位です。
エンゲージメントマネージャー(EM)は、プロジェクトの現場責任者として、クライアント対応、チーム指導、成果物の品質担保を行う重要なポジションです。
アソシエイトパートナー(AP)以上は、ファームの経営とクライアント獲得に責任を持つリーダーシップ層です。
コンサルタント職(専門職)以外の企画・事務・管理系職種も、マッキンゼーにおいては高い報酬水準が設定されています。
マッキンゼーの高速な昇進トラックは、年収の伸びに直接反映されます。
新卒のビジネスアナリスト(BA)として入社した場合、初年度の年収は600万円〜700万円となることが多いです 。
BAとして経験を積み、評価に基づき昇進すると、ジュニアアソシエイト(JA)に移行します。年収レンジは800万円〜1,200万円に拡大し、入社からわずか数年で年収1,000万円を超えることが標準的なキャリアパスとなります 。
入社から3〜5年在籍し、順調に昇進した場合、年収は1,300万円〜1,500万円に達する可能性があります 。この時期にエンゲージメントマネージャー(EM)への昇格が見込まれ、EMの年収レンジである 1,500万円〜2,000万円に到達します 。マッキンゼーは、若いうちからプロジェクト管理とクライアント責任という高度な業務経験と、それに見合う高報酬を同時に得られる環境を提供しています 。
昇進時の年収の上がり幅は大きく、特にEMへの昇格やAPへの昇格は、基本給の増加に加え、ボーナス算定の基準額が大幅に引き上げられるため、年収が飛躍的に伸びる転換点となります。この昇給は、マッキンゼーが採用する「Up or Out」という厳しいパフォーマンス主義のシステムと密接に結びついています。
中途採用者は、その経験に応じた高いポジションと報酬からキャリアをスタートできるため、入社時の年収レンジに大きな差が出ます。
MBAの有無は、入社時の職位に直接的な影響を与えます。MBAを取得している場合、未取得の新卒BAとは異なり、高い確率でアソシエイト(A)として採用されることが期待されます。これにより、入社初年度から年収はBAのレンジ(600万円〜800万円) を大きく超え、Aのレンジ(1,200万円〜1,500万円) でのスタートが可能となり、キャリア初期段階の報酬を最大化できます。
入社後3年という短期間においても、新卒組と中途組の間で年収の「ひらき」が生じます。
高い職位で入社した中途組は、昇進スピードが同等であっても、より高い基本給とボーナス算定基準でキャリアを進めるため、短期間で新卒組を上回る報酬に到達することが一般的です。
マッキンゼーの報酬の鍵を握るのは、その厳格かつ明確なパフォーマンス評価システムです。
具体的なレビューの周期は公開されていませんが、マッキンゼーの評価制度はコンサルタントの成長を促し、ハイパフォーマーを明確に優遇するために頻繁に実施されることが一般的です。
マッキンゼーでは、コンサルタントを以下の評価ランクで分類し、報酬や昇進の判断基準としています 。
評価ランク | 人数割合(推定) | 評価の意味 |
Very Strong | 15% | 非常に優れた成果。トップパフォーマー。 |
Tracking | 60% | 期待通りの成果。昇進トラックに乗っている。 |
Tracking Minus | 15% | 成果が期待水準にわずかに届かない。改善が必要。 |
Issue | 5% | 成果が著しく低い。改善が見込めない場合は退場勧告の対象。 |
この評価システムは、上位15%の「Very Strong」に位置づけられる社員を圧倒的に優遇し、彼らに最高レベルのボーナスを与える一方で、「Issue」と評価された社員には厳しいペナルティ(昇進停滞や退場勧告)を課す、極めて競争的な構造となっています 。
ボーナスは、この評価ランクに厳密に連動して算出されます。
このボーナスシステムこそが、マッキンゼーが高額な固定給に加えて、さらに高い報酬を実現する仕組みであり、コンサルタントに対し、常に高水準な知的アウトプットとクライアントへの付加価値提供を要求するインセンティブとなっています。
マッキンゼーでは、アサインされたプロジェクト(Engagement)の終了ごとに、プロジェクトリーダーやマネージャーから詳細なフィードバックが与えられます。この多角的な評価が、上記の評価ランクを決定する主要な要素となります。具体的な評価項目は、分析の質、問題解決能力、クライアント・リレーションシップ、チームへの貢献度など多岐にわたります。
マッキンゼーの報酬水準を正しく評価するには、競合する戦略コンサルティングファーム(MBB)との比較が不可欠です。
主要戦略コンサルティングファームとの平均年収比較(日本)
企業名 | 推定平均年収 | 平均年齢 |
ボストンコンサルティンググループ (BCG) | 1,412万円 | 34歳 |
マッキンゼー・アンド・カンパニー | 1,207万円 | 32歳 |
ベイン・アンド・カンパニー | 1,297万円 | 詳細不明 |
A.T. カーニー | 1,011万円 | 32歳 |
データ上、ボストンコンサルティンググループ(BCG)の平均年収1,412万円は、マッキンゼーの1,207万円を上回っています 。しかし、マッキンゼーの平均年齢が32歳であるのに対し、BCGは34歳です 。これは、マッキンゼーの社員は平均してBCG社員よりも2年若い時点で高水準の報酬に到達していることを意味し、**「キャリアの昇進スピード(効率)」**という観点では、マッキンゼーが優位にあることを示唆しています 。
ベイン・アンド・カンパニーの推定平均年収は1,297万円 であり、マッキンゼーと非常に近い水準で競争しています。MBBと呼ばれるこれら3社は、採用市場でトップ人材を獲得するため、報酬水準を戦略的に調整し合っている関係にあります。
マッキンゼーの平均年収(1,207万円 または1,842万円 )は、A.T. カーニー(1,011万円) や野村総合研究所(999万円)、ベイカレント・コンサルティング(961万円) といった総合系や他のコンサルティングファームを明確に上回っています。マッキンゼーが提供する報酬プレミアムは、戦略コンサルティング業界のトップティアとしての地位を確立しています。
マッキンゼーの圧倒的な高報酬は、その厳しい労働環境とパフォーマンス主義への対価です。
マッキンゼーにおける具体的な稼働時間の実態に関するデータは確認されていませんが、戦略コンサルティング業界全体として、クライアントの複雑で経営層に直結する課題解決を行うため、業務負荷が高いことが一般的です。これは、高額な報酬が、高い知的資本と時間的コミットメントを要求されることの裏返しであると言えます。
マッキンゼーの離職は、多くの場合、厳格な「Up or Out」の原則によるものです。
マッキンゼーでの経験は、その後のキャリア全体の報酬ポテンシャルを大幅に引き上げる「キャリアのブランド価値」として機能します。
「Up or Out」の原則は、報酬の伸び代を最大限に高めるシステムです。この高速な昇進トラック(2〜3年で次の職位へ )を乗り続けることができれば、入社後10年程度でパートナー(年収4,000万円以上 )に到達する可能性があり、生涯年収を最大化できます 。
マッキンゼーは、コンサルタントにMBA取得を推奨・支援することが多く、MBAを取得することで、より上位職(アソシエイト、年収1,200万円~ )での再入社や、パートナーシップへのスムーズな移行が可能になります。MBAは、マッキンゼーでの年収の伸び代を確保するための重要な投資と位置づけられます。
マッキンゼーのアルムナイ(卒業生)ネットワークと、そこで培われた経営戦略の立案・実行スキルは、起業家としての成功確率を著しく高めます。マッキンゼーでの経験は、次のキャリアにおける報酬の「青天井」のポテンシャルを保証するものです。
マッキンゼーのようなハイレベルな戦略コンサルティングスキルと経験を持つ人材にとって、フリーランスのコンサルタントとして独立することは、働き方と報酬の柔軟性を最大化する選択肢となります。企業に属さず、高単価のプロジェクトを直接契約することで、マッキンゼー在籍時と同等かそれ以上の時間単価を実現することも可能です。
特に「新規事業系のフリーコンサル案件」に強いのがNewAce(ニューエース)です。
Rさんはマッキンゼー退職後、NewAce経由で事業会社の新規事業責任者を務め、年収1,800万円以上をキープ。
NewAceは、マッキンゼー経験者のキャリアのセカンドステージとして非常にマッチする環境です。
年収を維持しつつ、裁量と柔軟性を手に入れたい方には理想的な選択肢です。
マッキンゼー・アンド・カンパニーは、戦略コンサルティング業界の頂点に位置し、その報酬水準は日本国内でも最高峰です。最新のデータに基づくと、マッキンゼーの平均年収は1,842万円(タレントスクエア推定)に達し、これは個人の能力と成果に報いる徹底した実力主義の結果です。
年収は年功序列ではなく、明確な役職(タイトル)によって決定されます。エントリーレベルのビジネスアナリスト(BA)で700〜900万円からスタートし、アソシエイトで1,000万円の大台を超え、エンゲージメントマネージャー(EM)では2,000万円前後、そしてパートナー(P)では5,000万円以上と、昇進に伴い報酬が飛躍的に伸びていきます。
この高報酬を支えるのは、半期に一度実施される厳格な5段階評価システムです。賞与は個人の評価に強く連動しており、評価次第で年収が大きく変動するインセンティブ構造となっています。
マッキンゼーでの経験は、その後のキャリアを約束する「最強のパスポート」であり、多くの卒業生が事業会社幹部や起業家として活躍します。しかし、この高待遇は、平均週60〜70時間の稼働や、常に「Up or Out」の文化と向き合うという、高い対価と引き換えに成立しています。
マッキンゼーの年収は、単なる高給ではなく、世界最高峰の環境で成果を出し続けることへの報酬であり、その後のキャリアにおける価値を最大化する「投資」であると言えます。
この記事を執筆した人
長尾 浩平
新規事業創出や事業戦略の専門家として、多様な業界での経験を持つコンサルタント兼起業家。 東京工業大学大学院 生命理工学研究科、および中国・清華大学大学院 化学工学科を卒業。グローバル企業において研究開発、新規事業企画、新市場参入戦略の立案、M&A支援、DXコンサルティング、営業戦略策定など、多岐にわたる業務を担当。業界を横断した豊富な経験を活かし、事業成長と競争力強化を支援する総合コンサルティングを提供。 2024年1月にVANES株式会社を創業し、企業の持続的成長を支援。変化の激しい市場環境において、戦略立案から実行支援まで一貫したアプローチで企業価値の最大化に貢献している。
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