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プロフェッショナルなビジネス用語集
2025.04.24
高度プロフェッショナル制度って自由に働ける仕組み?
裁量が増えるって魅力的だけど、長時間労働の不安もありますよね。
制度の中身を知らないと、損な働き方を選んでしまうかもしれません。
今回は高度プロフェッショナル制度の概要と特徴、活用時の注意点まで紹介します!
この記事で分かること!
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それでは、本章をチェックください。
目次
高度プロフェッショナル制度は、特定の専門性や高度な知識を持つ労働者に対して、労働時間の規制から一部除外し、自律的な働き方を可能にする新しい雇用制度です。
2019年の働き方改革関連法の一環として導入され、労働者の多様な働き方や生産性向上を目指しています。
この制度は、従来の時間管理中心の雇用管理では対応しきれない、専門職や高度な知見を活用する職種のために設計されています。
成果やアウトプットを重視し、労働時間ではなく成果で評価することが特徴です。
制度導入の背景には、グローバル競争やイノベーション人材の確保、従来型の「長時間労働」を脱却し、多様な働き方を広げる狙いがあります。
高度プロフェッショナル制度は、労働時間・休日・深夜・時間外労働の規制を受けずに働ける制度です。
「時間に縛られず、成果を重視した評価体系」が導入のポイントとなっています。
適用を受けた労働者は、出退勤時間や休憩時間などの管理が不要となり、
働く時間帯や場所を自身で決定できる自由度が高い働き方が可能です。
ただし、導入には下記のような要件・手続きが求められています。
働き方の柔軟性と引き換えに、労働時間規制による保護が大きく後退する側面もあり、
企業にも厳格な運用と説明責任が求められます。
制度の対象となるのは「高度な専門性・創造性を必要とする業務」に限られています。
具体的には、次のような業務が対象として定められています。
これらの業務に共通するのは「時間の長さより成果や付加価値が重視されること」「従来型の労働時間管理と親和性が低いこと」です。
一方、一般的な事務職や営業職、管理部門などの業務は原則として対象外です。
あくまで高度な専門性・裁量・責任を伴う職種のみに限定されています。
高度プロフェッショナル制度が注目された背景には、経済社会の変化と人材戦略の高度化があります。
少子高齢化による人手不足、グローバル人材の流動化、イノベーション競争の激化などに対応するため、従来の「一律の時間管理」に限界が生じてきました。
また、国際的には成果主義・ジョブ型雇用への転換が進みつつあり、日本の労働市場でも働き方の多様化と柔軟性への期待が高まっています。
政府の働き方改革の一環として、企業側にも「時間に縛られない働き方」を推進するニーズが強まっています。
こうした流れの中で、時間で縛らない評価・処遇を可能にする高度プロフェッショナル制度の導入が進められています。
高度プロフェッショナル制度と裁量労働制は、いずれも「時間管理に縛られない働き方」という共通点がありますが、内容や対象、法的な扱いには大きな違いがあります。
まず、裁量労働制は「みなし労働時間制」に分類されます。
これは、実際の労働時間にかかわらず、あらかじめ労使で決めた一定の時間を働いたものと見なす制度です。
「専門業務型」と「企画業務型」の2種類があり、対象となる職種や導入要件が法律で細かく定められています。
一方、高度プロフェッショナル制度は「労働時間そのものの規制適用除外」となる制度です。
みなし労働時間の概念もなく、労働時間・休憩・休日・割増賃金などの労働基準法の主要な時間規制が一切適用されません。
この点が大きな法的な違いです。
具体的な相違点は次の通りです。
裁量労働制は、労働時間を「何時間働いたか」ではなく「何時間働いたことにするか」で管理しますが、
高度プロフェッショナル制度は「そもそも労働時間の枠組み自体から外す」ため、より自由度とリスクが高い制度と言えます。
企業としては、両者の制度趣旨や適用対象の違いを正しく理解し、どちらが自社の実態や人材戦略に合うか慎重に選択する必要があります。
高度プロフェッショナル制度は、企業・労働者双方に大きなメリットをもたらす一方、リスクや注意点も多く存在します。
ここでは、企業側・労働者側それぞれの観点で、制度の利点と課題、さらに労働基準法の適用外となることで生じるリスクについて整理します。
メリットとデメリットを総合的に理解し、適正な運用が求められます。
企業側の最大のメリットは、成果重視の評価と高い柔軟性により、優秀な人材の確保や生産性向上を実現しやすくなる点です。
時間に縛られない働き方が可能となることで、イノベーションや新規事業の推進にも効果が期待できます。
また、長時間労働や残業代のコスト管理から一定程度解放されるため、賃金管理の簡素化や総人件費の最適化もメリットとなります。
一方で、適用対象の選定や同意取得、健康確保措置などの手続きや運用が煩雑になるため、導入・運用負担が増加します。
長時間労働リスクや職場のコンプライアンス意識低下など、副作用にも十分注意が必要です。
労働者側のメリットは、自己裁量で働く時間・場所・方法を自由に決められる点です。
高い専門性を活かし、成果やアウトプットに集中しやすくなります。
また、評価基準が明確になり、年収も高く設定されているため、実力と成果が反映されやすい環境となります。
ワークライフバランスや自己成長を重視した働き方を選択しやすくなる側面もあります。
一方、労働時間の上限規制が外れるため、長時間労働や休日労働のリスクが高まる点は大きなデメリットです。
成果主義ゆえのプレッシャーやストレス増加、職場内での孤立や不公平感も課題となります。
高度プロフェッショナル制度の最大の特徴は、労働基準法の主要な時間規制が適用されなくなる点です。
このため、以下のようなリスクが現実の課題として指摘されています。
労働時間の上限規制や休憩・休日の義務付けがなくなるため、本人の意思や会社側の期待によっては、
慢性的な長時間労働や過労が発生するリスクが高まります。
休日出勤についても制限がなくなり、結果として休日取得が後回しにされるケースや、
休みなく働き続ける状態に陥る懸念があります。
時間外労働や深夜・休日労働に対する割増賃金が不要となるため、
労働者にとっては「働き損」になるリスクや、正当な報酬が得られないと感じる問題も起こりやすくなります。
こうしたリスクに備えるため、企業側には健康確保措置や公正な人事評価、実効性のある労使協議など、厳格な制度運用とリスクマネジメントが不可欠です。
高度プロフェッショナル制度の導入には、厳格な手続きと段階的な準備が求められます。
法令を順守し、労働者の健康や権利を守るため、以下の流れに沿って適正に進めることが重要です。
各手順を順番に整理します。
まず、会社側は制度導入のために「労使委員会」を設置する必要があります。
この委員会は、事業場ごとに設置し、会社代表と従業員代表が参加します。
委員会では、制度の対象業務・対象者・健康確保措置・休日取得方法・情報開示内容などについて、具体的な内容を話し合い、
対象労働者の4分の3以上の多数による議決で決定します。
労使委員会での決議内容をまとめた上で、所轄の労働基準監督署長へ届け出る必要があります。
届出書には、決議事項や健康確保措置の詳細、委員会の名簿や議事録などが含まれます。
監督署から受理された後、初めて制度の運用が可能となります。
制度を適用するには、必ず労働者本人の同意が必要です。
同意の取得は書面で行い、同意の撤回もいつでも可能であることを明示しなければなりません。
同意しない労働者へ不利益な取扱いをすることは禁止されています。
同意を得た労働者が対象業務に従事する場合、労働時間・休日などの管理から除外され、
制度のもとで自律的な働き方がスタートします。
就業開始時には、制度内容・健康確保措置・連絡窓口などを改めて説明し、理解を促します。
労使委員会の決議には有効期間が定められており、
期間満了前に見直しや再決議を行い、適切な運用が続けられているか点検します。
有効期間が経過している場合や、委員会構成員に変更があった場合は、速やかに手続きをやり直す必要があります。
これらの手続きを漏れなく実施し、関係者間で十分なコミュニケーションと情報共有を図ることが、
トラブルの未然防止や制度の適正運用に直結します。
高度プロフェッショナル制度は、運用を誤ると長時間労働や健康障害のリスクが高まるため、適切な管理が不可欠です。
人事評価や健康管理の仕組みを見直し、労働者の健康や生活を守る措置を徹底しましょう。
制度を安全・円滑に運用するためのポイントを具体的に説明します。
高度プロフェッショナル制度では、従来の「時間管理」を前提とした評価が適しません。
成果やプロセス、イノベーションなど多角的な視点での評価制度が必要です。
成果評価だけに偏ると、過度なプレッシャーや不公平感が生じやすいため、
コミュニケーションや協働、自己成長などの要素も加味した評価基準づくりが大切です。
法律上、企業には対象労働者の健康確保措置が義務付けられています。
主な措置内容は以下のとおりです。
労働者の出社・退社・業務時間・在宅勤務状況など、
日々の「健康管理時間」を把握し、過重労働や生活リズムの乱れがないか定期的に確認します。
最低でも「年間104日」「4週4日以上」の休日取得が必要です。
業務繁忙期でも休日確保の仕組みを整備し、確実に休める体制を作りましょう。
法令では、下記のうちいずれか一つ以上の措置を実施することが義務付けられています。
対象労働者のニーズや業務実態に合わせて、最適な措置を選択します。
長時間労働や健康診断で異常が判明した場合は、産業医との面談や業務量調整、
メンタルヘルス対策などの個別措置が必要です。
労働者自身が体調不良を訴えたときには、速やかに必要な対応を行いましょう。
これらの措置は、制度の形骸化を防ぎ、実際の現場で安全に働ける環境づくりの土台となります。
企業の信頼やブランド価値にも直結するため、形式的で終わらせず、実効性を高める努力が欠かせません。
高度プロフェッショナル制度を適正に運用するためには、
関係する記録の作成と保存、さらに定期的な報告が法律で義務付けられています。
これにより、制度が現場で正しく機能しているかどうかを第三者が確認できるようになっています。
それぞれのポイントを具体的に整理します。
企業は、高度プロフェッショナル制度の運用に関連する重要な記録を作成し、
最低でも3年間保存することが求められています。
主な記録内容は下記の通りです。
これらの記録は、労働基準監督署による調査や指導が入った際に提示できるよう、
日々の運用段階から整理・保管しておくことが必要です。
高度プロフェッショナル制度を適用している事業場では、
6カ月ごとに所轄の労働基準監督署長へ運用状況を報告する義務があります。
主な報告内容は次の通りです。
この報告を怠ると、制度の適用取り消しや行政指導など、企業側に不利益が及ぶリスクが高まります。
日常的な記録管理と定期報告を徹底することで、高度プロフェッショナル制度の信頼性や透明性を確保し、従業員や社会からの信頼を守ることにつながります。
高度プロフェッショナル制度は、専門性や自律性の高い働き方を推進し、企業・労働者双方にとって多様な可能性を広げる制度です。
一方で、労働時間規制の適用除外や健康リスクへの対応など、適切な運用と管理が欠かせません。
導入・運用にあたっては、法令やガイドラインを順守し、手続き・健康確保措置・記録管理・報告義務などを丁寧に実施することが必要です。
人事評価や健康管理の仕組みを見直し、従業員の声にしっかり耳を傾けながら、持続可能な制度運用を目指しましょう。
今後も社会や働き方の変化に合わせて、制度の見直しや現場の声を反映させる柔軟さが重要です。
高度プロフェッショナル制度を正しく理解し、自社と従業員双方にとって最適な形で活用していきましょう。
この記事を執筆した人

長尾 浩平
新規事業創出や事業戦略の専門家として、多様な業界での経験を持つコンサルタント兼起業家。
東京工業大学大学院 生命理工学研究科、および中国・清華大学大学院 化学工学科を卒業。グローバル企業において研究開発、新規事業企画、新市場参入戦略の立案、M&A支援、DXコンサルティング、営業戦略策定など、多岐にわたる業務を担当。業界を横断した豊富な経験を活かし、事業成長と競争力強化を支援する総合コンサルティングを提供。
2024年1月にVANES株式会社を創業し、企業の持続的成長を支援。変化の激しい市場環境において、戦略立案から実行支援まで一貫したアプローチで企業価値の最大化に貢献している。
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