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役員の副業|取締役・執行役員が選ぶ社外取締役と顧問案件【2026】

役員の副業|取締役・執行役員が選ぶ社外取締役と顧問案件|NewAceマガジン

副業・兼業

2026.06.25

社外取締役に就くとき、自社の承認はいるのでしょうか。競業避止義務はどこまで及ぶのか。役員クラスが副業を考えると、肩書き特有の疑問がついて回ります。同じ「役員」でも、取締役と執行役員では適用される会社法のルールが別物だからです。

だから設計の起点は、自分が会社法上の取締役なのか、使用人として扱われる執行役員なのかを見極めることです。取締役なら会社法第356条・第365条による取締役会の承認、執行役員なら契約類型と就業規則が承認ルートになります。報酬の話より、まずこの身分を押さえたいところです。

新規事業に特化したフリーコンサル案件を紹介するNewAceが、役員クラスの副業相談で見てきた実務を、一次ソースとあわせて見ていきます。

この記事でわかること💡
  • 役員副業の設計は「会社法上の取締役か、使用人扱いの執行役員か」の見極めが起点
  • プライム市場上場会社は独立社外取締役を3分の1以上選任が原則(東証CGコード)
  • 取締役の副業は会社法第356条・第365条により取締役会の承認が必要な場合がある
  • 執行役員は契約類型(委任か雇用か)で承認ルートと制約が変わる
  • 役員副業は社外取締役・経営顧問・技術顧問・投資先支援の4タイプが中心

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それでは、本章をチェックください。

役員の副業は「自分の身分」で設計が分かれる

① 社外取締役需要が役員副業の市場を広げている

東京証券取引所「コーポレートガバナンス・コード」(2021年改訂)は、プライム市場上場会社に対し、独立社外取締役を少なくとも3分の1(必要な場合は過半数)選任すべきと定めています。2026年5月時点でプライム市場の上場会社は約1,570社あり、スタンダード市場・グロース市場を含めれば、社外取締役のポストは大きな規模で継続的に発生しています。

経済産業省は2020年7月に「社外取締役の在り方に関する実務指針(社外取締役ガイドライン)」を策定し、社外取締役の最重要任務を経営の監督と整理しました。役員経験者にとって、社外取締役は自社で培った経営視点を別企業で活かせる副業であり、需要として理にかなっています。役員クラスの副業がアドバイザリー型に集中するのは、この需要構造があるためです。

② 取締役と執行役員——会社法上の身分が違う

ここで見落とされやすいのが、「役員」という肩書きの中身が一様ではないことです。

会社法上の取締役は、株主総会で選任され、会社と委任関係に立つ機関です。取締役には会社法第356条が競業避止義務を課し、自社の事業の部類に属する取引を行う場合は取締役会(取締役会非設置会社では株主総会)の承認を要します。

一方、執行役員は会社法上の機関ではありません。多くの企業が任意で設けている役職であり、その法的位置づけは契約類型で決まります。会社と委任契約を結ぶ執行役員もいれば、雇用契約のまま執行役員の肩書きを持つ人もいます。雇用契約型の執行役員は法的には使用人、つまり従業員に近い扱いです。同じ「役員」でも、副業に適用されるルールはこの一点で分岐します。

③ だから副業設計の起点は「承認ルートの確認」

取締役であれば、副業先が自社事業と競合し得るかを判断し、会社法第356条・第365条にもとづく取締役会の承認が必要かを確認します。雇用契約型の執行役員であれば、会社法ではなく就業規則の副業規定と人事・法務の判断が承認ルートになります。委任契約型の執行役員は契約書の競業・専念条項を確認します。

役員副業でまず確かめるべきは、報酬の額ではなく、自分がどの承認ルートに乗るのかという点です。この見極めを飛ばして案件を選ぶと、就任後に競業避止や承認手続きの問題が表面化し、本業の立場を危うくしかねません。

「役員は副業を禁止されているのか」と問う声は多いのですが、会社法に役員の副業を一律で禁じる規定はありません。論点は禁止か否かではなく、承認手続きを正しく踏めるかどうかです。取締役なら取締役会の承認、執行役員なら就業規則や契約書の規定を確認する——この手順を起点に置けば、役員でも副業は始められます。

役員副業タイプ別の月稼働時間の目安

役員副業の4タイプ

役員クラスの副業は、稼働時間と法的責任の重さで4タイプに整理できます。

① 社外取締役・社外監査役

月1〜2回の取締役会と関連準備で関わる形です。役員経験を最も直接的に活かせますが、会社法上の取締役・監査役と同じ法的責任を負い、取締役会への出席義務もあります。4タイプのなかで最も関与が重い働き方です。

② 経営顧問・戦略アドバイザリー

月1〜2回のミーティングと軽量な資料作成で関わる形で、取締役会への出席義務はなく、法的責任は社外取締役より限定的です。本業の負荷を抑えながら経営知見を提供したい役員に向いています。

③ 技術顧問・スタートアップアドバイザー

スタートアップに長期で関わり、月数回のミーティングで助言する形です。現金報酬に加えてストックオプションが付与される案件もあります。事業開発や技術系の役員経験が活きる領域です。

④ 投資先支援・エンジェル投資

自己の投資先やエンジェル投資ネットワークを通じて関わる形で、副業というより投資活動の延長に位置づけられます。

💡 ポイント

役員副業は、稼働時間が短く法的責任の限定的な経営顧問から、法的責任を伴う社外取締役まで幅があります。本業の役員業務との両立を考えると、社外取締役の兼任は1〜2社にとどめるのが妥当でしょう。法的責任を抑えたい段階では、経営顧問型から始める選択肢もあります。

役員副業の報酬水準

社外取締役の報酬は企業規模や市場区分によって幅があります。デロイト トーマツと三井住友信託銀行による「役員報酬サーベイ(2025年度版)」では、売上高1兆円以上の企業の社外取締役報酬総額の中央値は1,518万円とされています〔出典: デロイト トーマツ/三井住友信託銀行「役員報酬サーベイ(2025年度版)」〕。市場区分別の水準を示す公的な統計は乏しく、プライム市場でおおむね年600万〜1,000万円、スタンダード市場で年400万〜700万円、グロース市場で年300万円前後といった目安が民間メディアで語られる程度です。これらは公式集計ではないため、あくまで桁感の参考にとどめてください。

ただし役員副業で報酬を「いくら受け取るか」だけを見るのは設計として不十分です。代表取締役であれば自社法人で受け取る選択肢もありますが、取締役・執行役員クラスは個人で受け取るのが一般的で、社外取締役報酬は通常は給与所得になります。タイプによって報酬の構造そのものが違うため、現金報酬と株式報酬のどちらが中心かを就任前に把握しておきましょう。

タイプ報酬構造
社外取締役・社外監査役現金報酬が中心
経営顧問・戦略アドバイザリー現金報酬
技術顧問・スタートアップ現金報酬+ストックオプション
投資先支援投資収益・ストックオプションが中心

表の通り、現金報酬が中心の社外取締役・経営顧問は、報酬が読みやすく本業と並行しやすい働き方です。一方、技術顧問やスタートアップ支援はストックオプションの比重が上がり、報酬の総額は就任時点では確定しません。手取りの安定を優先するか、将来の値上がり余地を取りに行くかで、選ぶタイプは変わってきます。

役員副業4タイプの比較

法務——身分別の承認ルート

役員副業の法務は、第1章で述べた身分の違いに沿って手続きが分かれます。

① 取締役の場合——会社法第356条・第365条

取締役が自社の事業の部類に属する取引を行う場合、会社法第356条が競業避止義務を定め、取締役会設置会社では第356条と第365条により取締役会の承認が必要になります。役員が他社の社外取締役や顧問に就任する際は、その副業先の事業が自社事業と競合し得るかをまず判断し、競合の可能性があれば取締役会で重要な事実を開示して承認を得ます。自社の定款・取締役会規定に兼業の届出ルールが定められていることも多いため、就任を検討した時点で法務に確認するのが安全です。

② 執行役員の場合——契約類型と就業規則

執行役員は会社法上の取締役ではないため、会社法第356条の競業避止義務は直接は適用されません。代わりに、雇用契約型であれば就業規則の副業・兼業規定が、委任契約型であれば契約書の競業・専念条項が承認ルートになります。どちらの契約類型かは自分の任用契約書で確認できます。執行役員は経営に近い情報に触れる立場のため、就業規則が一般社員より厳しい兼業条件を定めているケースもあり、人事・法務への事前確認が欠かせません。

③ 共通——競業避止と守秘義務

身分にかかわらず共通するのが、競業避止と守秘義務です。自社の事業領域と直接競合する企業の社外取締役や顧問への就任は、競業の問題に発展しやすくなります。自社事業領域を整理し、副業先の事業領域を確認し、利益相反のリスクを社内で開示しておきましょう。また、副業先で得た情報を自社に流用すること、自社情報を副業先に持ち込むことは、いずれも厳禁です。社外取締役に就く場合は、会社法上の取締役として善管注意義務・忠実義務を負い、株主代表訴訟のリスクもあるため、就任先の役員賠償責任保険(D&O保険)の有無と補償範囲を確認しておきましょう。

📊 NewAce支援データ

NewAceがマッチングするフリーコンサル案件は月単価120〜300万円帯です。100件超のフリーコンサル独立支援に関わってきた経験では、役員クラスの副業は、自分の身分に応じた承認ルートを丁寧に踏めているかどうかが、安心して続けられるかを分けています。承認手続きを後回しにした副業は、本業との利益相反が表面化したときに止まりやすい傾向があります。

役員副業の段階別マッチング
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役員副業の獲得経路

役員副業の案件は、その多くが個人ネットワークを通じて発生します。元同僚・元取引先からの直接の依頼、経営者交流会や業界カンファレンスでの出会い、LinkedIn経由のアプローチが主な経路です。社外取締役は信頼と実績をもとに招かれるポジションであり、不特定多数の応募で決まるものではないため、ネットワークの質がそのまま機会につながります。

近年は、社外取締役や顧問のマッチングを専門に扱うサービス、スタートアップ向けの技術顧問マッチングのプラットフォームも、獲得経路の一つになっています。マッチングサービスの選び方はコンサル副業マッチングサービス比較|主要プラットフォーム選定軸で整理しています。ただし基本は、役員として築いてきた人的ネットワークです。

役員副業の始め方——最初の一歩

はじめて役員副業に踏み出すなら、案件を探す前に手順を逆から組み立てたいところです。第一に、本業の承認ルート(取締役会か就業規則か契約書か)を確認し、就任の可否を社内で押さえます。第二に、自社の事業領域を棚卸しし、競合しない助言先の条件を言語化します。第三に、その条件に合う相手を人的ネットワークやマッチングサービスから探します。この順番なら、就任後に承認や競業の問題で止まるリスクを抑えられます。報酬交渉や案件の探し方に迷う段階では、第三者に相談しながら進める手もあります。

役員副業の3つの注意点

① 競合回避を徹底する

役員は自社の経営戦略を熟知しているため、競合企業への助言は本業の競争上の問題に直結します。副業先の事業が自社事業とどこで重なり得るかを具体的に洗い出し、グレーな案件は受けないようにします。判断に迷う案件は、取締役会や人事・法務に事前相談しましょう。

② 情報管理を徹底する

役員は機密情報に触れる立場であり、副業先と自社の双方向で情報が混ざらないようにします。副業先の資料・データを自社の業務に持ち込まない、自社の非公開情報を副業先で語らない。この線引きを自分のルールとして明確に持っておきましょう。

③ 自社役員業務との時間配分を守る

役員副業は、本業の役員としての職責が最優先という前提を崩しません。取締役会の準備、経営判断、部門マネジメントといった本業の負荷が高い時期に副業が食い込むと、双方の質が落ちてしまいます。社外取締役の兼任を1〜2社にとどめるのは、この時間配分の現実から来る目安です。

役員副業は単独で完結させるより、本業の役員業務を軸に、競合しない領域でアドバイザリー型を選ぶのが妥当な設計になります。専門スキルを軸にした副業の考え方はプロフェッショナル副業|専門スキルを単価を引き上げる戦略、年収1000万円超層の副業選びはハイクラス副業|年収1000万円超層が選ぶ高単価案件で扱っています。

NewAceの支援視点

NewAceは新規事業領域に特化したフリーコンサル案件の紹介を行っており、役員経験者からの副業相談にも対応しています。戦略アドバイザリーや経営顧問の案件提案、スタートアップ技術顧問の紹介、自社事業との競合回避の整理まで支援できます。

100件超のプロジェクト支援で見てきた範囲では、役員クラスの副業がうまく回るのは、案件選びの前に自分の身分と承認ルートを確かめている人です。代表取締役クラスの副業設計は経営者の副業|代表取締役が選ぶアドバイザリーと社外取締役で別途扱っているため、自社内で代表に近い立場にある方はあわせて確認してみてください。相談はNewAceの無料相談からお寄せください。

NewAceで扱う実際の案件事例

フリーコンサルの案件に関連する案件を、公開中のものからいくつか紹介します。報酬・期間は掲載時点の目安です。

最新の募集状況はNewAceの案件一覧でご確認ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 取締役と執行役員で、副業の手続きはどう違いますか?

A. 取締役は会社法上の機関であり、自社の事業の部類に属する取引を行う場合は会社法第356条・第365条により取締役会の承認が必要になります。執行役員は会社法上の機関ではなく、雇用契約型なら就業規則の副業規定、委任契約型なら契約書の競業・専念条項が承認ルートになります。まず自分の契約類型を確認してください。

Q2. 自社の取締役が他社の社外取締役を兼任する手続きはどうなりますか?

A. 副業先の事業が自社の事業の部類に属する取引にあたる場合、会社法第356条・第365条により取締役会の承認が必要になります。自社の定款・取締役会規定を確認し、必要に応じて重要な事実を開示して承認を得るのが法的に安全です。

Q3. 上場企業の社外取締役の報酬はどのくらいですか?

A. 企業規模で幅があります。役員報酬サーベイ(2025年度版)では売上高1兆円以上の企業の社外取締役報酬総額の中央値が1,518万円とされ、市場区分別にはプライムで年600万〜1,000万円程度とする推計もあります。

Q4. 役員が副業で得た所得はどう申告しますか?

A. 社外取締役の報酬は通常は給与所得、経営顧問や技術顧問の報酬は事業所得や雑所得に区分されます。給与所得者は給与・退職所得以外の所得が年20万円を超えると確定申告が必要です(この20万円は収入から経費を差し引いた所得が基準で、20万円以下でも住民税の申告は別途必要です)。

Q5. 社外取締役のD&O保険は誰が負担しますか?

A. 通常は社外取締役を受け入れる企業が負担します。社外取締役は会社法上の取締役として法的責任を負うため、就任前にD&O保険の有無と補償範囲を確認しておきたいところです。

Q6. 役員が社外取締役を兼任する数の目安はどのくらいですか?

A. 1〜2社が妥当です。本業の役員業務との両立、取締役会への出席義務、利益相反の回避を考えると、3社以上の兼任は時間管理が難しくなります。

まとめ——身分の見極めを起点に承認ルートを踏む

役員の副業は、社外取締役・経営顧問・技術顧問・投資先支援というアドバイザリー型に集中します。プライム市場上場会社が独立社外取締役を3分の1以上選任する原則のもと、社外取締役の需要は高い水準を保っています。ですが役員副業の成否を分けるのは案件の魅力より、自分の身分に応じた承認ルートを正しく踏めているかどうかではないでしょうか。

読者のタイプ別に、次の一歩を示します。

取締役の方——取締役会の承認ルートを起点に

会社法上の取締役の方は、副業先が自社事業と競合し得るかを判断し、会社法第356条・第365条にもとづく取締役会の承認が必要かを定款・取締役会規定で確認することから始めてください。

執行役員の方——契約類型の確認を起点に

執行役員の方は、まず自分の任用契約が雇用契約型か委任契約型かを確かめ、就業規則の副業規定または契約書の競業条項を起点に、人事・法務へ事前相談してください。

すでに案件を探している方——アドバイザリー型に絞る

すでに案件を探している役員の方は、本業と競合しないアドバイザリー型に絞り込み、稼働時間と法的責任の重さが本業と両立する案件を選んでください。新規事業領域のフリーコンサル案件をお探しなら、NewAceの無料相談で月単価120〜300万円帯の案件をご紹介しています。報酬の受け取り方や株式の扱いは、税理士・会計士と相談しながら設計してください。

この記事を執筆した人

  • 長尾 浩平

    新規事業創出や事業戦略の専門家として、多様な業界での経験を持つコンサルタント兼起業家。 東京工業大学大学院 生命理工学研究科、および中国・清華大学大学院 化学工学科を卒業。グローバル企業において研究開発、新規事業企画、新市場参入戦略の立案、M&A支援、DXコンサルティング、営業戦略策定など、多岐にわたる業務を担当。業界を横断した豊富な経験を活かし、事業成長と競争力強化を支援する総合コンサルティングを提供。 2024年1月にVANES株式会社を創業し、企業の持続的成長を支援。変化の激しい市場環境において、戦略立案から実行支援まで一貫したアプローチで企業価値の最大化に貢献している。

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